かのうちあやこの「東京eスポーツフェスタ2021」レポート

2月12~14日に、eスポーツの普及と関連産業の振興を目的とするイベント「東京eスポーツフェスタ2021」が開催された。
第2回目の今大会はオンライン開催となり、eスポーツ競技大会や関連産業の展示がなされた。

競技大会は、「太鼓の達人 Nintendo Switchば~じょん!」、「グランツーリスモSPORT」(PS4)、「パズドラ」、「eBASEBALLパワフルプロ野球2020」、「ぷよぷよeスポーツ」、「モンスターストライク」の人気の6種目。オンラインで行われた予選を突破した選手による決勝大会で優勝者には東京都知事杯が贈られた。なお、大会の模様は公式サイトなどでアーカイブが見られる。
関連産業展示会は、都内に所在するeスポーツ関連の中小企業や団体、学校が出展している。
このほか「ぷよぷよプログラミング」のオンライン講座などもあった。

セミナーも開かれており、そのなかで2つを視聴。

福岡eスポーツ協会会長の中島賢一さんの講演「eスポーツが生み出す新しい価値」では、社会課題の解決に役立つ取組などが紹介された。
中島さんはNTT西日本エンターテイメントプロデューサーなどもつとめていらっしゃる。福岡eスポーツ協会は福岡に限らずどんな法人でも個人でも参加できるそうだ。

さて、世界の人口約78億人のうち、オンラインにつながれる人が44億人弱。そのうちeスポーツを認知している人が19.5億人、常連ファンは2.2億人だそうだ。
ゲームは「eスポーツ」になったことで、プレイするものから共有するものになった。

eスポーツを見て楽しむ人たちは年々拡大中で、2020年には4億人にのぼるという。特に中東・アフリカで増えているそうだ。これはITインフラが整備されてきたことが大きい。デジタルネイティブ世代がお金をはらえる年齢になってきたことがビジネスとしては重要だ。eスポーツ市場を金額でみるとおよそ1,165億円規模。なんと35%を中国が占めているのだそうだ。

ゲームは老若男女、障がいのあるなしに関わらず、どんな人でも参加できるという特徴があり、様々なコミュニティがつくりやすく、マーケティングに使いやすいのだそうだ。インフルエンサーを使ってモノを売るのと同じだろう。

また、これを身近な問題の解決ツールとして考えることもできる。大分の温泉産業のアピールにつなげた例など、地域振興への利用も考えられる(コロナ禍で今は難しいが)。

また、2019年に米国から「EVO japan」という格闘技ゲーム大会を誘致することにも成功した。大相撲九州場所の地で開くことに米国側も興味を示したそうだ。経済波及効果11億円以上というからかなりのものだ。

ゲームにはIT(プログラミング)、英語などの教育的要素がもともとある。それを応用して、高齢者施設でのリハビリにも使われている。通常であれば苦痛に感じるであろう大変なリハビリに「楽しい」を持ち込むことで効果があがるそうだ。神戸など行政の取り組みも出てきている。ゲームをしながら健康データをとることもできるそうだ。

コミュニケーション、つながりを生み、さらに社会課題の解決にまで広がってきたeスポーツ。まだまだ新しい価値を作り出すことができるのかもしれない。

「eスポーツにおけるダイバーシティの深化」では、障がい者eスポーツ大会「ePARA」(イーパラ)を主催する株式会社ePARA 代表取締役の加藤大貴さん中心に、19年11月の初開催時の話をはじめ、eスポーツがどのように社会に役立つか、特に障がい者の社会参加に寄与できるかを探ってきた行動をうかがえた。

eスポーツの魅力とは、年齢を問わない、男女を問わない(五輪は馬術以外男女別)、場所を問わない、直接コンタクトがない=オンラインとの相性がいい、この点は新型コロナ感染拡大による昨今の状況下で注目を集めている。そしてハンデキャップを問わないことだ。パラリンピックのような制限もない、何に障がいがあるか、ないか、関係なしに平等に戦うのだそうだ。

このeスポーツのプロ選手として企業に就職するという例も出てきているそうだ。eスポーツアスリートチームを作っているBASE株式会社の三條陸さんによると、会社で障がい者雇用を考えた時に、アスリートをと考えたが種目がわからなかった。悩んだすえ自身がIT企業でゲーム好きも多かったのでeスポーツを選んだそうだ。しかしこれまで事例がなく、求職者のデータもないなか手探りで始まった。19年夏のeスポーツ大会をとりあえず見に行ったところからご縁があり、プロ選手の雇用に至ったそうだ。

今年は障がい者法定雇用率の引き上げがあり、企業も取り組みを進めている。その際にeスポーツにできることもありそうだ。

子供がなりたい職業にあげられるようになった「eスポーツプロ選手」は、親にはだいたい反対されるという。職業としては選手寿命の短さや収入の不安定さなど問題が多い。しかし、ゲーム、eスポーツの良さを活かして、社会に貢献できる時代にはなってきたようだ。


(フリーアナウンサー/証券アナリスト かのうちあやこ)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。