『いよいよ本格化するリベンジ消費』

コロナ禍で3度目となる2022年のゴールデンウィーク(GW)は、最大10連休となる曜日並びに恵まれたまさに大型連休と呼ぶに相応しいものとなりました。オミクロン株の感染が収束したとは言えない状況ではありましたが、緊急事態宣言による外出自粛が強く求められた2021年とは打って変わって、行動制限のない大型連休となったことで、旅行に出掛ける人も増加しました。前半こそぐずついた空模様の日が多かったですが、後半は晴天に恵まれ、まずまずの行楽日和となりました。首都圏近郊の観光地はどこも、コロナ前の人出に近い水準を取り戻したようです。

JR旅客6社が集計したGW期間中(4月28日~5月8日)の新幹線と在来線の特急・急行の利用者数は、前年比2.45倍の907.5万人に上りました。コロナ前の2018年の75%程度の水準まで回復してきたことになります。依然としてインバウンド需要が剥落しているほか、東北・秋田・山形新幹線が3月の地震の影響で減便されていたことなどを考慮すれば、まずまずの状況だったのではないでしょうか。また、国内航空各社も国内線が前年比約2倍の267.4万人、国際線が約4.7倍の14.1万人の利用者に。ハワイ線では全日空がピーク日にほぼ満席になるなど、回復傾向が鮮明となってきました。

さらに、行動制限が解除された4月の百貨店の月次売上も、高島屋<8233>が前年同月比22.6%増、三越伊勢丹<3099>が20.2%増、阪急阪神百貨店が42.2%増など、消費にも回復傾向が表れています。とくに、ラグジュアリーブランド等の高付加価値商品を取りそろえた伊勢丹新宿本店が35.3%増、三越日本橋本店が32.3%増など、いわゆるリベンジ消費拡大の兆しが出てきたといえそうです。ちなみに、4月の景気ウォッチャー調査では現状判断DIが2021年12月以来の50超えとなりました。経済活動の制限緩和が寄与しているとみられますが、一方で資源価格の高騰や円安による輸入物価の上昇が警戒され、先行きのDIはわずかな改善にとどまりました。ただ、家計動向関連の中でサービス関連や飲食関連は前月から大きく改善していて、今後、これらの業種のさらなる回復が見込まれます。

加えて、連合が5月6日時点で集計した最新の春闘の中間報告では定期昇給を含めた賃上げ額の加重平均は6,160円、率では2.10%とコロナ前の水準を回復する見通しとなりました。夏季賞与も前年比1%程度の上昇が見込まれています。岸田内閣は3%の賃上げを企業に求めていますが、物価上昇の影響を所得増である程度カバーできれば、夏に向けて消費者の財布のひももいくらか緩む可能性があるでしょう。つまり、リベンジ消費はこれから本格化してくる可能性が考えられます。そうなれば、夏の旅行シーズンにはレジャー客の一段の増加が見込まれます。海外への渡航制限も徐々に緩和されるとみられ、海外旅行需要も緩やかに回復に向かうでしょう。また、政府は6月をめどに外国人観光客の新規受け入れを再開し、入国者数の上限も現在の一日1万人から2万人に引き上げる案が浮上しているようで、インバウンド需要の回復も見込まれます(実際に松野官房長官は、小規模の訪日ツアーを近く始める考えを近々で示しています)。5月6日に決算発表を行った日本航空<9201>は、23年3月期の国内線需要がコロナ禍前の水準を回復し、国際線でも通期で45%程度まで回復するとみています。レジャー需要の回復、鉄道、航空路線の利用者増加、百貨店や飲食店でのリベンジ消費などが見込まれ、コロナ前の状況に戻っていくものと思われます。方向感に欠ける展開が続いている株式市場も、こうした動きを映して徐々に落ち着きを取り戻してくることに期待したいところです。


(カイカ証券)

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