『先が見えた?FRBの金融引き締め』

11月1日、2日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)で、市場の予想通り0.75%ポイントの追加利上げが決まりました。4会合連続で、通常の3倍となる大幅利上げが実施されたことになり、今年3月会合の利上げスタートから6回連続の利上げとなります。政策金利は3.75~4.00%と、利上げがスタートした今年3月からわずか8カ月で、2008年1月以来、約14年半ぶりの水準まで引き上げられました。声明文の中では、これまで「継続的な利上げが適切になるとみている」としていた文言の前に、「長期的に物価上昇率を2%に戻すのに、十分に景気抑制的である金融政策スタンスを実現するために」という文章を加えたうえで、今回新たに、「将来の利上げペースを決めるにあたり、累積した金融引き締め政策や、経済活動やインフレに与える影響の時間差、経済・金融情勢を考慮する」との一文が加わりました。これは利上げによる景気下押し圧力の波及効果によって、過度な景気減速(オーバーキル)を起こさないように、配慮したものと思われます。

会合後の記者会見でパウエルFRB議長は、早ければ次回12月の会合で、利上げペースを減速する可能性を示唆しました。今回の0.75%ポイントから0.5%ポイントに引き上げ幅を縮小する可能性が出てきました。一方で、インフレ低下が思うように進んでいないといった認識から、9月のFOMCで示された政策金利見通し(ドットチャート)の4.6%よりも、ピークが引き上げられるだろうといった見方も示しました。また、あとどれくらいの期間にわたって利上げを継続するかも、より重要だとコメントしました。加えて、利上げの停止を議論するのは「極めて時期尚早」として、市場の楽観的な見方をけん制しました。

今回のFOMCで利上げ減速は近づきましたが、利上げのピークアウト自体は先送りされた印象です。引き続き景気の減速に配慮しながら、利上げの時間軸を考慮した政策運営が迫られる中で、今後発表を控えている経済指標の重要性は増すばかりです。ちなみに、会合に先立って1日に発表されたISM製造業景況指数は50.2と市場予想の50.0をわずかに上回りましたが、好不況の分かれ目となる50をかろうじて上回っている状況です。3日に発表されたISMサービス業PMIは54.4で2年5カ月ぶりの低水準となって、市場予想(55.5)も下回り、景況感の減速が続いています。4日に発表された10月の雇用統計も非農業部門の雇用者数が26.1万人増と市場予想を上回ったものの、前月からは鈍化しました。また、失業率は3.7%に悪化して、市場予想を上回ったほか、時間当たり賃金も前年同月比4.7%に、伸びが縮小。まだら模様の内容となりましたが、市場では利上げペースの減速観測に重きがおかれ、株価が大きく上昇しました。 改めてスケジュールを含めて整理しておくと、次回12月のFOMC会合(13日、14日)までに、雇用統計がもう1回(12月2日)、消費者物価指数(CPI)があと2回(11月10日、12月13日)発表されます。現時点では12月会合で利上げ幅を0.5%ポイントに縮小する一方、ピークの政策金利見通しを5.0%近くに引き上げる可能性がありそうです。ただ、念頭に置いておきたいこととして、投票が近々で始まる米国の中間選挙後の議会構成によっては地政学的リスクが一段と高まる可能性がある反面、バイデン政権の政策遂行力が低下することが挙げられます。それに連動する形で、世界的な景気減速の可能性がさらに高まることも考えられますので、政策担当者は、頭の痛い年末を迎えることになりそうです。短期的なリバウンドで毎度株式市場関係者から楽観論が生じますが、そもそもの株価のボラティリティが大きくなっていることを踏まえて、常に気を引き締めてご自身の資産を管理するよう心掛けたいところです。


(カイカ証券)

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