コロナ禍3回目の夏は、3年ぶりに行動制限のない夏休みとなりました。お盆の帰省客も、コロナ前の9割程度まで戻ってきていたようです。レジャーランドやアミューズメント施設も一定の規制はあるものの、概ね通常営業に近い状態となっています。映画館もひところは飲食を禁止したり、座席の間隔を強制的に空けたりといった対策が取られたケースもありましたが、最近はマスク着用程度に緩和されているようです。
さて、こうした傾向も手伝ってか、最近映画の話題が盛り上がっています。トム・クルーズが36年の時を経て戻ってきた『トップガン』の続編『トップガン マーヴェリック』。前作の大ヒットを知る中高年男性には特に大人気で、公開後3か月が経過した現在でも週間ランキングの上位に顔を出しています。観客動員数は700万人を超え、興行収入は100億円を上回ってきました。また、1993年に公開されたスティーブン・スピルバーグの大ヒットシリーズ『ジュラシック・パーク』の最終章となる『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』も人気を集めています。こちらも観客動員数は300万人を超え、興行収入も50億円に迫っています。金曜ロードショーで過去作を放送していたので、ご覧になった方も多いかもしれませんね。また、夏休み映画といえば、ディズニーやピクサーの海外アニメに加え、ドラえもんやポケモンなどの国内アニメにも人気が集まる傾向があります。今年も海外アニメ(CG)では『バズ・ライトイヤー』や『ミニオンズ フィーバー』、国内アニメでは『それいけ!アンパンマン』、『ドラゴンボール超(スーパー)』などが夏休み前から、公開されています。
そんな中、注目を集めているのが、8月6日に公開された『ONE PIECE FILM RED』です。「ONE PIECE」の長編劇場版アニメとしては通算15作目で、総合プロデューサーを原作者の尾田栄一郎さんが務めるのは2016年の『ONE PIECE FILM GOLD』以来4作目となります。また、今回の映画に登場する歌姫『ウタ』の歌声は『うっせぇわ』の大ヒットで知られるAdoさんが担当したことも話題となっています。
「ONE PIECE」は1997年7月に少年ジャンプで連載が開始され、今年で25周年となります。単行本は8月4日に最新の103巻が発売されています。テレビアニメは1999年から放送が開始され、20代から40代の世代には絶大な人気を誇っています。登場キャラクターの多さは群を抜いていて、名前のあるキャラクターだけでも、700以上になるといわれています。7月には待望の「ONE PIECE カード・ゲーム」もスタートしています。その『ONE PIECE FILM RED』ですが、8月25日に、公開から20日間で、観客動員数720万人、興行収入は100億円を突破しました。今年公開された作品の最速記録を更新しています。筆者の友人も見に行ったそうですが、上手く本編と繋がっており、非常に面白かったと話していました。
ちなみに日本アニメの歴代興行収入ランキングは、以下の通りとなっています。
第1位 『鬼滅の刃 無限列車編』が404.3億円
第2位 『千と千尋の神隠し』が316.8億円
第3位 『君の名は。』が250.3億円
ベストテンで見ればスタジオジブリ作品が5作品と半分を占めていますが、昨年公開の『劇場版 呪術廻戦 0』(8位:137.5億円)や『シン・エヴァンゲリオン劇場版4』(10位:102.8億円)も10位以内に顔を出しています。『ONE PIECE FILM RED』の勢いを見ていると、歴代ベストテンに入ってくることは間違いなさそうです。なお、「ONE PIECE」や「ドラゴンボール」のキャラクター展開をしているバンダイナムコHD(7832)は8月19日に上場来高値を更新したほか、単独配給先の東映(9605)も22年1月安値をボトムにリバウンド基調で推移しています。なお、『トップガン マーヴェリック』や『ミニオンズ』、『ジュラシック・ワールド』などを配給する東宝東和の親会社・東宝(9602)も8月18日に年初来高値を更新しています。このように「映画」という身近なテーマでも投資に繋がりますから、ご自身の身の回りで起きていることや新しい社会の動きや流行に投資家の方はぜひ積極的に触れてみることをお勧めします。
(カイカ証券)
※本稿は筆者の個人的な見解であり、カイカ証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。