9月15日から幕張メッセで「東京ゲームショウ2022」が開催され、3年ぶりに設けられたリアル会場に行ってきた。そこには賑わいが戻っていた。
今年のテーマは、「ゲームは、絶対、とまらない。」ここには、コロナだけでなく、販売から配信へという大きな流れ、VRやメタバースへの取り組みなど進化を続ける業界の強い意志を感じる。
37の国と地域から605の企業と団体が出展。国内出展社数が312社(うちオンライン出展は25社)、この状況でも海外からも出展社数は293社(オンライン出展は25社)あり、オンライン開催だった昨年の約1.7倍になった。コロナ前の2019年と比べると、会場規模は約7割程度で用意したが、出展社数は想定を超えて約9割に回復した。
私の行ったビジネスデーの客足は好調で、「正直想定以上で驚いている」との関係者の声も聞かれた。
各社配信番組で情報発信にも力を入れているが、リアル会場では実際に体験してもらうことにこだわっているという。フィギュアやフォトスポットが用意され、何より試遊機を例年よりたくさん置いたという。それでも人気のゲーム、新しいハードには長い列ができていた。
例えばコーエーテクモは2大タイトルの発表が目玉。 『ライザのアトリエ3 ~終わりの錬金術士と秘密の鍵~』は人気シリーズで、会場に設置されたフィギュアは写真を撮る人が途切れなかった。広報の方によれば、頭からつま先までこだわって造ったもので「自分だけの角度で撮影してほしい」とのことだった。そして、『Wo Long: Fallen Dynasty(ウォーロン フォールン ダイナスティ)』の試遊も人気。『Wo Long』は『仁王』シリーズなどの開発で知られるTeam NINJAが手掛けたダークな世界を舞台にした三國アクションRPGだ。最近人気の「死にゲー」で、敵が強くてすぐにやられてしまうが、それだけに倒した時の達成感が大きいという。武器集めなども楽しみのひとつ。同社の得意な世界観も存分に楽しめそうだ。
スクウェア・エニックスは超大画面にゲーム映像を流す、以前と変わらぬやり方も踏襲しながら、やはり試遊機も充実していた。スクウェア・エニックスの開発スタジオ・Luminous Productionsの第1作目となるオープンワールドアクション「FORSPOKEN」は特に人気で、私の行ったビジネスデー2日目の午前でも90分待ちの列ができていた。実際にさわれるのは世界初だ。有色人種のヒロインが魔法攻撃を繰り出し、どうやら空中の動きにも特徴がありそう。『ロマンシング サガ -ミンストレルソング- リマスター』も遊べる形は初出展だ。個人的にはFFの音楽が総動員されている『シアトリズム ファイナルバーライン』最新作がひそかに楽しみ。また、コアファンにはいつも注目される物品コーナーも、フィギュアの精度の高さなどが話題だったようだ。
そのほか、海外で人気の高いゲームの主人公『ソニック』の巨大バルーンが目印のセガ・アトラスブースでは、『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』が注目された。
カプコンでは、『モンスターハンターライズ:サンブレイク』アップデート情報の詳細が発表されたが、どうやらエスピナス亜種やタマミツネ希少種などなかなか歯が立たないらしい。
『バイオハザード ヴィレッジ』 PSVR2版の試遊は整理券配布パターン。早朝に売り切れたらしい。ソニーの「PlayStation VR2」も一般向けには初お披露目、しかもソニーがブースを出さないとあっては仕方ない。
とはいえこれは私は前作の時に怖すぎて試遊で椅子から落ちたので、もしも手に入りそうでも絶対やらない。映像をみただけでも、それだけ恐ろしそうだ。ヘッドセットからもリアルな感触が伝わるとか。ぜったいこわい。
ゲームソフト全体の傾向というのは無さそうだが、ナンバリングタイトルの続編がやはり強く、いくつもパージョン違いを出したりしている。美麗な絵はさらに美しく、俳優さんが実際に演じたものをCGにするのが主流でものすごくリアルになっている。一方で、昔にかえったような、4頭身くらいのアニメもまた増えた気がした。
そして、上記「PlayStation VR2」以外にも東京ゲームショウに「Meta Quest」が初出展するなどVR関連の展示も目立った。
今回のゲームショウはオンラインとのハイブリッド開催とされているが、オンライン部分はVRで楽しめるようになっている。幕張メッセの地下が「ダンジョン」となっていて、冒険できるという設定だ。
また、ゲーミングマシンに関する展示もあり、KOMODOブースで体験できた「Steam Deck」が話題をさらった。ごく簡単に言ってしまうと「ポータブルゲーミングPC」だそうで、ニンテンドースイッチをふた回りおおきくしたような形だ。体験した人に聞くと、動きはなめらかで性能に不満はなさそう、大きいけど思ったより重くないといった好意的な声が返ってきた。ゲームはPCゲームが増えていくという話もあった。
今回の会場展示では特に目につかなかったが、基調講演のテーマは「メタバース」で、VRとともにこれからのゲーム業界の大きな関心事になることは間違いない。その時はゲーム専用機ではなくPCになるのか、そのPCも形を変えるのか、様々興味はつきない。
(フリーアナウンサー/証券アナリスト かのうち あやこ)
※本稿は筆者の個人的な見解であり、カイカ証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。