かのうちあやこの「コンテンツ東京2021 /第1回 XR総合展」レポート

4月14日(水)~16日(金)の3日間、東京ビッグサイトにて開催された「コンテンツ東京2021 /第1回 XR総合展」に行ってきた。

「コンテンツ東京」は映像・CG制作や最先端デジタルテクノロジー、広告制作などに関わるコンテンツビジネスが集結した商談展で550社が出展、「XR総合展」にはコンテンツ制作、ヘッドマウントディスプレイ、バーチャル空間、遠隔操作・体験技術に関するすべてが集められた。

私が中心に見たのは「XR総合展」。XRとはVR・AR・MRの総称だ。ご存知のようにVR=Virtual Reality「仮想現実」はコンピュータが創り出した仮想世界に入り込めるのが特徴。AR=Augmented Reality は「拡張現実」と呼ばれ現実の世界に仮想の世界を重ねることができる。『ポケモン GO』のイメージがわかりやすい。そして現実と仮想世界を「融合」「複合」させたのがMR=Mixed Realityだ。

PlayStation VRが発売された2016年を一般に「VR元年」というが、あれから5年。思ったほどの盛り上がりはなかったような気もしないではない。BtoBからBtoCへの広がり具合はいまひとつだ。MR、XRとなった今、どのような利用がなされているのだろうか。

まず会場入り口近くでいかにもそれらしい光景が繰り広げられている。会議システムのデモンストレーションに人が集まっていた。マイクロソフトのHoloLens をかぶった人が、画面の中のアバターを相手に話している。HoloLensをかぶって、目の前の何もない空間で左右に手を動かしたりつまんだりしている様子はそこだけ見ているとなかなか奇妙だ。合わせて画面を見ると、街の模型が作られ、それに従って会議が行われているという体だった。他に使っているのはお互いのiPhone。コロナ禍で出張ができずリモートワークが増え、遠隔地の人々を結んで会議をすることも増えた。そんな時にこのようなシステムを使うと、空間に映像を表示させ、共有して、記録保存もできるという。

MRの利用法として、これまでは設計現場や工場が多かったが、会議用などにも広がっていくという。

2016年から法人向けのXR事業を展開してきたクリーク・アンド・リバー社では、コロナ禍でバーチャルイベントが増えており、「阿波踊りVR体験」など自治体の仕事を受託しているそうだ。同社のコンテンツ作成のノウハウが活きるのだろう。また、このところ教育分野での引き合いが強いという。やはりコロナ禍で人が集まる研修が行えないなどの問題が生じているそうだ。

その教育分野では、明電システムソリューションが社内研修用に作ったというコンテンツ見せてもらった。工事現場ではしごからの墜落事故がおきてしまう様子を再現するという安全教育コンテンツで、ヘッドマウントディスプレイのVR映像と、連動して傾きや揺れを感じさせるモーションプレートが一体となった装置で体験する。こうしたVR+機器を使うことで座学よりも感性に訴える教育ができるという。学習定着度が3割から7割に上がるとのデータもあるそうだ。

そのほかにも、製造マニュアル、接客向け職業訓練用VRソフトなども展示されていた。こうしたものはVRとの相性もよさそうだ。また、技能伝承に役立つというアイトラッキンググラスというものも展示されていた。熟練者の無意識の視線を可視化し、カンやコツをみつけ、新人教育に活かすのだそうだ。すでにデンソーなどで使われており、教育期間の短縮化、工員の作業のスピードアップなどの実績があるそうだ。人々の視線のデータを集めて分析すればマーケティングにも使える。

やはりこうしてみるとBtoBのほうが利用されやすいようだが、BtoCではエンタメ分野との相性が良い。ただその場合、どうしてもゴーグルをかぶるのが面倒なようで、ゴーグルを被らない技術が追求されているようだった。頭の動きをセンサーで感知して画面に連動させるものがあったが、これはVRと呼んでいいのかは少し疑問だ。

そのほか、ショッピングに利用できないかという試みがあった。ECはもう普通のことになっているが、ショッピング体験をより現実に近いものにすることはできないかと考えられていた。バーチャルイベントが増えているのは先に述べたが、そのイベント内での買い物は、一時ゴーグルを外して没入していたイベントから抜け出て、実際にPCでカード番号を打ち込むといった作業が必要になる。それをイベント内でそのまま行えるようにできないかと考えているのがTISで、「XR Pay」として2022年4月を目標にリリースを予定しているそうだ。VRショップを出店する空間、VRプラットフォームも考えている。

今回の展示会は、入り口でマスクチェック・検温と手指消毒をしないと入場できないというコロナ対策は行われていたが、人出は多く一部は密だなと感じる場所もあった。XRが興味を引く題材だったせいかかなり盛況であった。人が集まることへの恐怖も少し薄れているのかもしれないと感じた。

私自身はゴーグルを被って体験したが、後になってちょっと不安を感じたりし、早くこんな心配なく展示会に来られると良いなあと強く思った。


(フリーアナウンサー/証券アナリスト かのうちあやこ)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。