かのうちあやこの「ナノセルロース展2019」レポート

アジアを代表する環境の総合展示会「エコプロ2019」(一般社団法人産業環境管理協会と日本経済新聞社主催)に行ってきた。2019年12月5日(木)から7日(土)の3日間、東京ビッグサイトで、「持続可能な社会の実現に向けて」をテーマに開催された。環境学習の場ともされており、会場には児童・学生の集団が多くみられた。

注目したのは企画展「ナノセルロース展」だ。ナノセルロースとはセルロースナノファイバー、セルロースナノクリスタルなどの再生可能な新素材だ。株式市場でもセルロースナノファイバー(CNF)というのは時々テーマになる。最近では東京モーターショーにCNFを部品に使ったコンセプトカー「NCV(ナノ・セルロース・ビークル)が出展されたことで再び関連銘柄が動意づいている。

CNFは鋼鉄の5分の1の軽さで、5倍以上の強度をもつ素材で、建築材料から音響機器、日用品、化粧品、食品と幅広い用途での開発、製品化がなされている。今展示会では、これらの実物を見て触れたほか、ナノセルロースそのものにもさわってみることができた。作る過程も示されていたが、木材をチップにして繊維を取り出し、化学処理などでナノメートルサイズの非常に細く長い繊維にしていく。軽くて強いことに加え、高透明性、低線熱膨張係数(熱に対する寸法安定性)といった特徴も持つことで、電子デバイス材料等への展開も期待されているそうだ。

日本製紙(3863)では「木とともに未来を拓く」というテーマを掲げて大きなブース展示をおこなっていた。代替プラスチックの象徴となっている紙製ストローなどの製品のほか、世界最大級のCNF生産能力について説明していた。

第一工業製薬(4461)ではTEMPO酸化法により製造されるCNFを製品名「レオクリスタ」として販売。「スプレー可能でタレないゲル」といったユニークなものや、CNF配合のインクを搭載したゲルインクボールペン(三菱鉛筆)を展示していた。

大王製紙(3880)はCNFを使った自動車を展示していた。ボンネット、ドアなどCNFを使うことで、従来比約5割も軽量化されるそうだ。実際にEV車としてレースにも参加したという。

自動車は環境省のブースにも展示されていた。東京モーターショーに出ていたコンセプトカー「NCV(ナノ・セルロース・ビークル)」だ。バンパーは「ほとんど木」で、10~15%軽量化されている。アイシン精機がインテークマニホールドという部品を展示。星光PMC(4963)のCNF複合材料、阿波製紙(3896)のCNFを用いた成形品が使われている。日本の資源として考えたときに、木材からつくれるCNFは非常に重要で、CO2を削減するための予算枠があるため、開発に資金を投じやすい面もあるという。

以前の展示会では、木材繊維のナノ化がいかに難しく、どのようにしてできるようになったか、またその繊維を素材にどう混ぜ込むかの工夫が強調されていたが、今回はすでにそういったものはなく、製品として形になったものの展示が多かったように思う。だいぶ進歩したように思えるCNF。気候や自然災害から、環境面に意識を向けることは必須とも思えるようになってきたなか、CNFという再生可能素材への関心も継続しそうだ。


(フリーアナウンサー / 証券アナリスト かのうちあやこ)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。