かのうちあやこの「東証インフラファンド」レビュー

コロナウイルス感染拡大の影響でマーケットも大荒れだ。既に実体経済への影響もみられる。しかも、OPECプラスの決裂、原油価格の急落という悪材料が重なり、信用不安につながるとの観測も出た。過去のショック安を思い出すと、暴落からいったん落ち着き、現実の悪化を見て2番底をさぐりにいくことが多かった。また、暴落したことによる2次被害というのも出てくる。しばらくは神経質にならざるを得ない。

しかし、こうした中でも変わるものと変わらないものがある。目の前のことに対処するのに精いっぱいではあるが、頭のどこかでコロナ後の世界を考えておきたい。

変わらないことのひとつとして、運用難がある。今回、金融緩和は各国で強化され金余り状況はもしかしたら一層強くなる。金利は低い。お金の行き場がないのは同じだ。そうすると少しでも金利がついて、少しでも安定した運用先はないかと世界中のマネーが行き先を探す。業界としてはそれに応える金融商品をつくろうとする。そのひとつがESG(環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G))投資関連商品なのではないかと思う。日本では「東証インフラファンド指数」がちょうどこの時期に算出・公表となる。

世界的に環境への関心が高まっているのも、コロナウイルスでは変わらないことのひとつだろう。欧州各国は既に脱炭素化の方針を明確にし、人々の間でも脱プラスティック運動などが広がっていると聞く。米国はトランプ政権が2020年11月に地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」から離脱するが、企業は欧州の規制に合わせるため環境対策に積極的だ。一方日本の政策は心もとない。昨年12月のCOP25で環境団体から温暖化対策に積極的でない国を揶揄する「化石賞」を与えられてしまった。市民の意識もそうだ。あの東日本大震災の直後こそ電力使用量を気にしていたが、昨年の夏はもうガンガン冷房をかけていなかっただろうか。震災をうけてもガラッと変わることはできなかった。とはいえ、度重なる自然災害に環境対策の必要性を身に染みて感じることもあり、緩やかにではあるが若い世代中心に意識は変わっていると思う。

運用難、環境意識の高まりの中でのESG投資だが、これまでは残念ながらパフォーマンスを伴っていなかった。しかし近年、ESGに反するところ、石油関連企業やたばこ産業の株価が厳しいことを見ると除外の要因としては明確になっているようだ。さらに、世界最大の年金基金GPIFも2017年からESG指数に連動する投資をはじめ、運用資産は

19年3月末に3.5兆円になっている。なかでも「E」環境に、グリーンボンドを通じて資金を振り向ける可能性があるという。

そして4月27日に東証が「東証インフラファンド指数」(基準日は3月27日)の算出・公表を開始する。指数ができるということは、その指数に連動するETFがつくれるということで、GPIFなども買いやすくなるかもしれない。

インフラファンドは、REITに似た仕組みで、投資対象は太陽光発電設備をはじめとする再生可能エネルギー発電設備や港湾施設などのインフラだ。投資家から集めた資金で太陽光発電設備などを取得、第三者に貸し出し、そこから得る賃料が収益になる。それを投資家に分配金として還元する。現在上場している7銘柄の主要投資対象は太陽光発電設備だが、発電された電力は固定価格買取制度(FIT)に基づいて電力会社が買い取る義務を持つため、安定的な収益が期待される。

これまで認知度が低かったが、ここにきて月平均の出来高が2倍超になっている銘柄もあり、やや市場の拡大が期待できる。7銘柄の合計時価総額は約800億円(3月13日時点)である。

「東証インフラファンド指数」公表とともに投資家のすそ野の広がりがみられるのではないだろうか。上場銘柄数がまだ少なく、流動性も難があるが、ひとつの投資対象として考えてみたい。


(フリーアナウンサー/証券アナリスト かのうちあやこ)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。