かのうちあやこの「Inter BEE 2019」レポート

11月13日から15日に千葉・幕張メッセで開催された国際放送機器展「Inter BEE 2019」に行ってきた。

テレビ局で使うような大きなカメラや、ラジオ局にある音声を調節したり編集したりする機材が並んでいる放送機材の非常に専門的な展示会だ。正直、その機能のスゴさのほどは私にはわからない。

興味深かったのは、ここにも「働き方改革」の波が押し寄せていたことだ。今年4月の労働基準法改正とともに、総務省が「放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドライン」を策定したことなどにより、細かな確認作業が増え、これまで当たり前だったという「編集で徹夜」なんてことは許されなくなったという。

そこで活用されているのがAIで、例えばソニーでは、スポーツ放送のダイジェストを作成するときに、会場の音で盛り上がりを検知したり(しかも解説者の声を除いて)、得点板を検知したりして自動で編集ができるのだそうだ。これまでは編集マンが全編見ていた編集作業を、ある程度肩代わりしてくれる。私の周りでも、インタビュー時の「えーー」というような不要な声を切ったり、妙な間をつめたり、職人技で放送の時間枠に合わせるといったことを終電までやっている光景を見ているので、これがAIになったら確かに楽になるだろうなと思う。NECでは、顔認証技術を応用して、過去素材の再利用や2次利用の時に出演者を確認できる技術を展示していた。これも人間がいちいち確認するのは大変な時間がかかる。

また、AIアナウンサーも働き方改革の一環ともいえる。実際にラジオ関西などでは深夜・早朝の天気予報などですでに導入されているそうだ。10万件のニュースを学習しており、自然な読み方ができるようになった。番組を作る際の録音のために、スタジオとアナウンサーの時間を合わせておさえるというのもけっこう難しいため、AIアナウンサーで音だけ入れてしまえれば非常に合理的に制作できるという。非常に興味深く説明員の方にお話をうかがっていると、「どういう業界の方ですか」と問われ、「実はアナウンサーです」と名乗ると、「これはAIアナウンサーとつけてますがナレーターです。アナウンサーにとって代わるものではありません」と、慌てた様子で付け加えてくださった。ナレーターとアナウンサーの違いは置いておくとして、非常に簡単な文字入力だけで(あるいはコピペでもいい)すぐに音声になるというのは必ず利用価値があるだろうと思った。災害時の情報、速報などだ。

他に目を引いたのは「巻けるテレビ」。シャープと日本放送協会(NHK)が共同開発した30V型の4Kフレキシブル有機ELディスプレイだ。フィルム基板上に、RGB(赤・緑・青)に発光する素子を形成したため、0.5mmの薄さが実現できたそうだ。これを半径2cmに巻いて箱に収納できる。狭い場所でも、大きな画面できれいな映像を見てほしいと開発したそうだ。

4K・8K、5Gで新製品もたくさん出ていた。門外漢で全く触れられなかったが、カメラなどにご興味のある方は各社ホームページなどにも掲載されているのでご覧いただきたい。


(フリーアナウンサー/証券アナリスト かのうちあやこ)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。