かのうちあやこの「Japan IT Week 春(後期)」レポート

19年5月8~10日に東京ビッグサイトで開催されたJapan IT Week春(後期)、に行ってきた。1,180社も出展する日本最大級のIT展示会(商談向け)で11の専門展から構成される。

元号が変わったこと、消費税増税と軽減税率制度などへの対応で会計・財務管理システムが注目されたり、9月開催のラグビーワールドカップから続々と大きなイベントを控える中インバウンド対策ソリューションも話題になっていた。

人手不足が叫ばれるなか私は「AI・業務自動化展」を中心にブースをまわった。

会場に入ってすぐに感じたのは、出展社の人々の熱心さだ。展示会によって雰囲気はかなり違うものなのだが、ここはかなり積極的に商談が行われているようで、「どういったことでお困りですか?」「導入のご予定ですか?」とすぐに声をかけてくれる。逆に言えば、競争は激しいとも感じられた。大手や差別化するものを持っているところと、関連ソフトのベンチャーや汎用ソフトのメーカーでは差がついているかもしれない。

ある会社のミニセミナーによると、RPA(Robotic Process Automation)、業務自動化用のツールは大手の5つくらいに絞られたそうだ。日本社では、NTTデータ(9613)が販売する「WinActor」が国内シェア首位。実績№1サービスの「BizRobo」はRPAホールディングス(6572)が展開している。

その中から自社のシステムとの相性などで選ぶが、相性が悪いと全く動かないなんてこともあるそうで必ず導入する前に試用期間がある。そのツールの選び方から導入に関するサービスを行う会社などもあった。こうしたコンサル機能も差別化のひとつだ。意外と導入の壁になっているのは現場の反対だそうで、どの業務に使うのか、何をゴールとするのか明確にすることが大事だそうだ。

RPA実装に向けたコンサルティングなども行うユニリタ(3800)ブースでは、ヘルプデスクの効率化についての説明を聞いた。ヘルプデスクは属人性強く、対応品質にばらつき多いため、RPAを導入する価値が高い。また、忙しいIT部門の窓口であるという意味でも重要だ。ところで、IT部門はコストセンターなんて言われるそうで、どのシステムがどれだけ売り上げにつながっているのか可視化している。IT担当者さん達の組合みたいなのも作っていたりするそうだ。

業務自動化とはまた違うが、マーケットでAI関連として注目度の高いALBERT(3906)も出展していた。電力需要の予測やなどの分析事例を紹介していた。単眼カメラによる深度推定では、ドライブレコーダーの動画データを利用してディープラーニングで分析、複眼同様の精度で距離を推定できるようになった。カメラが1ついらなくなり、コストが削減された。同社の強みはデータサイエンティストを多数抱え、分析力が高いことだ。企業の抱える課題に合わせたシステムを構築できる。

FRONTEO(2158)では、情報発見のための独自の人工知能エンジン「KIBIT」によるテキスト解析の事例を紹介。訴訟時の証拠開示支援事業を行ってきた経験から、例えば不正示唆メールを発見することなどを行っている。単なるキーワード検索ではなくKIBITは微妙なニュアンスの違いを判定するそうだ。金融庁による FinTech実証実験ハブに選定され、銀行・証券のコンプラ効率化で結果を出したそうだ。

ブースをまわる中でうかがったお話しでは、これまで「とりあえずAIで何か」ということもあったが、企業側の姿勢は変化してきており、何が解決したい課題なのかは具体的になってきたそうだ。そして、RPAもそうだが、AIが普通のパソコンの裏で働いているというのは、既に普通のことになりつつある。関連市場はさらに拡大しそうだ。


(フリーアナウンサー/証券アナリスト かのうちあやこ)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。