かのうちあやこの「SEMICON Japan 2017」レポート

 12月13日から15日にかけて東京ビッグサイトで「SEMICON Japan 2017」が開催された。エレクトロニクス製造サプライチェーンの総合展示会で、今年のテーマは「マジックが起きる」としている。半導体製造装置・材料を扱う企業などの国際的な展示会だけあって、今まさに変化と成長の時代を迎え、2013年以降最大規模での開催となったそうだ。

 CEATECなどと同様に半導体関連以外の企業からの出展があったことがひとつの特徴で、「WORLD OF IOT」という企画展にはトヨタやテスラモーターもブースを出した。中古装置パビリオンなどパビリオンの充実も特徴だという。

 そのパビリオンの中でひときわ目を引いたのが「ミニマルファブ」だ。ミニマルファブとは、産業技術総合研究所(産総研)が2006年に構想を完成し、2008年に開発集団を組織化した、ごく小規模で半導体を造る構想で、これまでもセミコンにブース出展はしていたそうだが、私は初見で非常に驚いた。パビリオンの中に四角い白いロボットのようにも見える機械が60台ほど並んで立っている。29.4cm×45cm、高さ144cmのその柱のようなものが半導体製造装置だというのである。この装置群は、洗浄機、露光機など様々なものが全て同じ仕様になっている。そして、ミニマルシャトルという搬送容器に入れ、容器の中のみクリーンにすることでクリーンルームが必要ないのだそうだ。私は坂口電熱さんでレーザ加熱を見せていただいた。東京ビッグサイトのこの人通りの多い中で、実際に加工が行われる。ミニマル装置のタッチパネルを操作し緑のボタンを押すと、シャトルが運ばれていき、急速に加熱され、冷却されて戻ってくる。あっという間だ。振動も何もない。

 これまで半導体ウエハはどんどん大口径化することで生産効率をあげようとしてきた。ミニマルファブは逆にウエハを小さくすることで無駄を省き生産性をあげることを試みたのだという。使われているのは0.5インチのウエハで半導体が1個ずつ生産できる。もちろん大量生産は大口径が向いている。しかし、IOTによって多品種少量の半導体が必要になってきているという。また、研究開発にも小ロットでの生産が役に立つ。また設備投資が圧倒的に抑えられる。既存の大ファブなら5,000億円かかるものが5億円程度ですむという。

 ミニマルファブの研究会に参加しているのは117社、14大学など。ディスコ、石井工作研究所、アピックヤマダなどがミニマル装置を出展。遅れていたイオン注入機なども開発され、ほぼすべての製造装置が出そろったそうで、横河ソリューションサービスが窓口となって異なるメーカーの様々な装置を受注・販売する。

 少量の半導体チップの製造のハードルが下がることで、研究開発のありようが変わったり、思い切った新製品が生まれたりするかもしれない。非常に楽しみだ。

(フリーアナウンサー/証券アナリスト かのうち あやこ)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。