かのうちあやこの「TREND EXPO TOKYO 2017」レポート

 そろそろ2018年の相場テーマと言う話題が出てくるころである。2017年は「AI(人工知能)」が一押しだった。どうもこの流れは続きそうだ。しかし未だに「AI」がつかみきれずにいる。

そこでこの秋、AIに関する講演をいくつか聞いたのでその感想を書いておきたい。

 「ITpro EXPO 2017」では「改めて問う、AIは本当に人間の職業を奪うのか?」というパネルを、11月2・3日に開催された「TREND EXPO TOKYO 2017」では「最先端の開発者が語るAI&ロボットがいる“未来”のカタチ」、グーグル Google Cloud デベロッパーアドボケイト佐藤一憲氏の「現場力を支えるAI~Googleが目指す誰もが使える機械学習」というセミナーを聴講した。

 「AIは本当に人間の職業を奪うのか」というお題は一般市民としては一番気になるところか。個人的にも、最初の段階でAIにとってかわられる仕事として「アナウンサー」が挙げられているので非常に興味がある。それぞれ違う立場のパネラー、国立情報学研究所教授で人工知能学会会長の山田誠二氏、xenodata lab.の関洋二郎社長、野村総合研究所(NRI)未来創発センター2030年研究所上級コンサルタントの上田恵陶奈氏のお話を伺うことができた。

 山田教授によれば現在「AI」の定義がもやもやしているが、研究者の数だけあると言えるほどあいまいなのだそうだ。広くは人間並みの知的なものだが、狭義では現実を数値化することをさす。最近の報道に出てくる「AI」の95%くらいはただの「IT」ではないかとおっしゃっていて、私のもやもやがひとつ晴れた。また、グーグルの佐藤氏のセミナーでも定義は定まっていないとのことで、人工知能を「かしこい」をつくる技術、機械学習をデータから学べるシステムと整理されていた。

 仕事が奪われるかどうかについては、どんな種類の仕事がなくなるかについて意見が分かれた。上田氏はヒトならではのもの、創造性の高いものは「AI」が代われないとのご意見だった一方、山田氏はクリエイティブというのも、実は新しいことに見えて既存のものの組み合わせ次第だったりするので実はAIが得意かもしれないとのお話しだった。しかし、すべての仕事がなくなることは無いというのが共通していた。人間の仕事は複雑な組み合わせで成り立っているが、AIはタスク単位でものごとを行うので、全部まるごとというのは難しいと山田氏。実際のサービスを行っている関氏はコストの見合いがあるので、付加価値の高い仕事ほどAI化されるとしていたが、その際は人間がまた新たな仕事を産み出すだろうとのことだった。また、上田氏は過去に起きていないことに対する課題解決や経営判断などはAIが代わることができないとしていた。

 グーグル佐藤氏のセミナーではきゅうりの分類をするシステムを15万円で作ってしまった農家さんなどが紹介された。そのコスト低減なども驚くが、これは毎日8時間かけてやっていたお母さんが楽になった事例であって、仕事を奪われたとは思わないだろう。何をやらせるか、は人間の側にかかっているのかもしれない。

 そしてこれから人間がAIと付き合っていくために「組織としても個人としても、AIリテラシーが必要な時代になる」(山田氏)とのお話が印象的だった。パネルの中でAIも道具なのだとの認識があったが、道具であれば使う側もそのうまい使い方を習得しなければならない。そして使い方を間違えれば、車が事故をおこすように、AIも危険があることは同じだろう。

 研究ではなく、実際に商品を出しているところの話を聞こうというコーディネーター、ジャーナリストの津田大介氏の言葉で始まった「最先端の開発者が語るAI&ロボットがいる“未来”のカタチ」でも、ソフトバンクロボティクスの蓮実一隆氏と、スクウェア・エニックスの三宅陽一郎氏から、私達人間はロボットをうまく使うために何が必要かを考えるべきだろうとの提言があった。ゲームの中には既にかなりAIが活躍しているが、三宅氏はゲームの技術がいろんな産業に活かせるのではないかとおっしゃっていた。これは実際に出始めていると思うが、AR・VRなども加えてどんどん使われてほしいと思う。ペッパーを作った蓮実氏は、飛行機が発明されてから100年でみんなが使うものになった、スマホは10年だった、ロボットはもっと速いんじゃないか、だからSFじゃない自分のこととしてロボットの居る世界を今から考えておこう、と締めくくられて、やはり人間側の対応力も必要とされるなあと感じた。
 それにしても、もう少し理系の勉強をしておけば良かった・・・。

(フリーアナウンサー/証券アナリスト かのうち あやこ)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。