世界最大のゲームの祭典「E3(Electronic Entertainment Expo)」は今年、完全オンラインで開催された。昨年はコロナの影響により開催自体をとりやめたため2年ぶりの開催になる。現地時間2021年6月12日から6月15日にかけて様々なコンテンツが紹介された。
ゲームのデータなどを提供するStream HatchetのTwitterによると、最も視聴者数(ピーク値)が多かったのは「Nintendo Direct E3 2021」の310万人で、「Xbox & Bethesda GamesShowcase2021」が230万人で続いた。さすが任天堂。
しかし最もゲームファンの評価が高かったのはXboxだったと米国メディアが伝えている。
なお3大ゲーム機メーカーでソニーは今年も参加していない。
マイクロソフトのXbox & Bethesda GamesShowcase2021は、たしかにE3ならではの特別感があった。Xboxの看板ゲームの最新作『Halo Infinite(ヘイロー・インフィニット)』は延期されていた発売がホリデーシーズンと発表。広大な宇宙を舞台とした「Starfield(スターフィールド)」は2022年11月11日に発売予定だ。映画「Pirates of the Caribbean(パイレーツ・オブ・カリビアン)」とコラボした「Sea of Thieves(シー・オブ・シーヴス)」などの映像も公開された。
発表されたタイトルは全部で30本。この物量には圧倒される。そして、30本のうち27本が「Xbox Game Pass(エックスボックス ゲームパス)」で提供される。つまり9割がサブスクリプションサービスの対象で、クラウドゲームにも対応しているのである。今後のマイクロソフトの方針が表れているといっていいだろう。
また、今回はタイトルから「Xbox & Bethesda(ベセスダ)」としている。昨年Microsoftは、Bethesda Game Studiosなどを持つゲーム持株会社ZeniMax Mediaを巨額買収しており、このE3はその成果のお披露目でもあったようだ。
発表会の最後にはミニ冷蔵庫の発売が告げられた。Xbox Series Xの形が冷蔵庫にそっくりと一部で話題になったことから本当に造ってしまったらしい。中の照明の緑もそのもの。なかなかシャレている。
任天堂の「Nintendo Direct E3 2021」は、いつもの楽しい「ニンダイ」だった。「マリオパーティ」「メイド イン ワリオ」は安定感がある。「Super Monkey Ball Banana Mania」は10月5日リリース、シリーズ最高傑作の呼び声も高い。2D「メトロイド」の19年ぶりの新作「メトロイド ドレッド」、「真・女神転生V」、「大乱闘スマッシュブラザース SPECIAL」への「鉄拳」シリーズの三島一八の参戦もファンの注目度が高い。
そして非常に人気の高い『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』続編の新情報がついに公開された。今度の舞台はハイラルの空の上に広がっているようだ。2022年の発売が待たれる。ゼルダ35周年の今年出てくると期待したのだが。記念としては「ゲーム&ウオッチ ゼルダの伝説」が発売される。
残念だったのは、「Switch Pro(スイッチ・プロ)」の発表がなかったことだ。推測記事などが出ており、勝手に期待して盛り上がっていたわけだが、初代Switch発売から4年、HDスクリーンの新型機登場を待ち望む声は多い。世の中の半導体不足の問題が関係しているならば発売はまだ先か。
ソフトメーカーもやや地味な発表で、「Square Enix Presents Summer Showcase」では約40分の放送時間のうちマーベル作品の紹介が半分以上で、目新しいオリジナル作品がなかった。FF16の続報が出なかったことがファンの失望を誘った。FFではアクション要素の強い「FF」シリーズの新作「ストレンジャー オブ パラダイス FF オリジン』が2022年発売と決定している。開発はアクションゲームに定評のあるコーエーテクモゲームスのTeam NINJA。
カプコンは「バイオハザード ヴィレッジ」の追加ダウンロードコンテンツ制作決定、そして「バイオハザード RE:バース」の配信を2021年7月に予定していると発表した。バイオハザードは今年25周年を迎える。「モンスターハンター・ストーリーズ2 破滅の翼」の映像も公開された。7月発売だ。一部で期待のあった「モンハン ライズ」の追加モンスターの発表はなかった。
驚くような新作の発表はなかったが、それぞれにおもしろそうなタイトルは多く映像を見入ってしまい時間を忘れた。やはりゲームの発表はオンラインとの相性がよい。TOKYOゲームショウでも会場でトレーラー映像を見るだけで、実機をさわって遊べないのは残念だが、ある意味米国のE3がこうして家で見られるのはありがたい。
しかし、E3を毎年開催するロサンゼルスのEric Garcetti市長は、来年のE3はLAコンベンションセンターに戻ってくる、リアルで開催すると開幕のあいさつで発表した。閉幕のあいさつではない、まず来年はここで会おうという約束から始めたのである。私はここに、直接会って話して一緒にゲームをしよう、という人々の強い願いを感じた。
(フリーアナウンサー/証券アナリスト かのうちあやこ)
※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。