オンライン展示会「ITトレンドEXPO2021Autumn」に参加した。1万人を超える申し込みがあったというビジネス向けの展示会である。
セッションエリアと展示エリアの2部構成で、展示コーナーでは、テーマごとに企業やサービスのコーナーが設けられ、そのアイコンをクリックすると飛べるようになっている。展示エリアは「セキュリティ」「テレワーク推進」「Webマーケ&営業支援」「AI/業務自動化」などのエリアに分かれている。どれもまさに今問題意識が高そうなテーマだ。これらからテーマを選び、見たいサービスを選んで進むと、「名刺を交換してください」と言うボタンが出てきた。名刺を交換して進むと、動画を見たり、資料をダウンロードできるになっている。チャットで質問できるところもあった。続いて関連した他の展示コーナーが紹介され、次々と見ていくことができる。リアルタイムランキングがあり、人気の展示もわかるようになっている。私が入った時間のランキング1位はGoogle Workspaceに関するマネーフォワードのブースだった。
セッションも多数用意され、元サッカー日本代表の方や橋本聖子氏などの有名人も登壇。ビジネスの考え方のヒントも得られるようになっていた。
セッション・セールスピッチとして「電子契約を活用した全社改革プロセスの現実と課題」(弁護士ドットコム株式会社)、「中堅企業の営業DXって結局、成功してる?」(株式会社ジャストシステム)、「初めてでも、成果が出るデジタルマーケティングの3つのポイント」(株式会社シャノン)など。投資テーマとしても話題になったところがあった。
そして、私が視聴したのは株式会社 圓窓 代表取締役 澤 円 氏による講演、「エバンジェリストが語る『日立のLumadaとは何者なのか』」。
このセッションに興味を持ったのは、そもそも「ルマーダ」ってよくわからないなあと思っていたからだ。提供開始の2016年からはかなり時間が経過し、最近では大企業の変革のひとつの象徴のような言われ方をすることもあり、その実態が知りたいと思っていた。
講演された澤円さんは「ルマーダ エバンジェリスト」という肩書きを持つ。去年8月までMicrosoftにいらしたそうだ。
その澤さんからも、製品でもサービスでもなく「ルマーダ」とは何なのかとよく聞かれるとのお話があった。そして澤さんの答えは「日立のスピリット」だという。
発電所から鼻毛カッターまで幅広く扱う十徳ナイフのような日立という会社で、それぞれのつながりは大事なことだ。イノベーションというと技術革新と訳されるが、実は初めに提唱したシュンペーターは「新結合」と言ったのだそうだ。新しい組み合わせで結びつくことはたらこスパゲッティのような思いもかけないものを産み出す。そのつなぐための旗印が「ルマーダ」である。
講演をうかがって、具体的なことはおいて、日立の目指すもの、「ルマーダ」の考え方はとてもよく分かった。
澤さんのお話は非常におもしろく、ビジネスマンにとって響く言葉がたくさん散りばめられていたと思う。なぜご自分が新しい仕事についたかのお話や、プレゼンの極意もためになった。
人の話を聞くことはやはりおもしろい。
そして全く違う場所にいた人とつながることはきっとおもしろいモノを生み出せるだろう。これこそ「ルマーダ」だ。
大企業、老舗は、たくさんの財産を持っている。これを自分の中でつなぎ直すことによって、まだまだ新しい可能性が出てくる。または他の企業や新しい考え方とつながることでさらなる飛躍があろう。
その時に助けとなるのがITであって、所謂DXである。
必要なのは柔軟さとトランスフォームしようという気持ちなんだと思った。
(フリーアナウンサー/証券アナリスト かのうち あやこ)
※本稿は筆者の個人的な見解であり、カイカ証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。