かのうちあやこの『光関連の専門展示会OPIE 21』レポート

株式市場では、しばらく前から半導体関連技術として「レーザー(又はレーザ)」「光」が注目を集めている。
そこで、ちょっと難しそうだが国内最大級の光関連の専門展示会OPIE ’21(OPTICS PHOTONICS International Exhibition 2021)に行ってきた。今年は6月30日から7月2日にパシフィコ横浜で開催された。レーザーEXPO、レンズ設計・製造展、赤外・紫外応用技術展など6つの展示会で構成される。

ところで「レーザー」という言葉はよく聞くし、日常的にも使う。レーザーポインター、レーザー脱毛、レーザービーム。しかし、そもそも何なのかよくわかってないんじゃないかと思って調べると、レーザーとは、「Light Amplification by Stimulated Emission of Radiationの頭字語であり、指向性と収束性に優れた、ほぼ単一波長の電磁波を発生させる装置である」(「レーザー」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2021年7月19日(月)17:00(日本時間)URL:http://ja.wikipedia.org/)。装置?
「増幅して得られる人工的な光」と解説しているサイト(ギガフォトン株式会社ホームページより引用)もあった。

レーザーの特徴についてNEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)ブースで教えてもらった。まずひとつは非接触で加工できること。例えばドリルで金属に穴をあける場合、どうしても物理的な限界がある。レンズがあれば光は絞れるのでかなり小さな穴をあけることが可能。半導体がどんどん小さくなり、周りの部品も小さくなる中で微細加工に向くレーザーの役割は大きくなっている。もうひとつはデジタル制御がしやすいこと。設計から製造までにいろんな国が関わることも増えており、データ共有しやすいのも特徴だ。

NEDOブースでは「ものづくりを変えるNEDOのレーザー加工技術」という展示が行われていたが、次々世代の研究などでよく見かけたのは「高出力」という言葉。いかにしてパワーを上げるかが課題で、新型面発光レーザーについて富士フイルムビジネスイノベーションと東京工業大学の展示があった。もとは複写機の富士ゼロックスの技術だと聞くとなるほどと思う。面発光は日本発の技術だそう。ほかに求められているのは、短パルス(=ついたり消えたりがより短いほうがきれいに加工できる)や、短波長(=波長が短い紫外線はエネルギーが高く、紫外線が強いと日焼けするように、一回に当てる量が少なくて済む)など。京都大学とスタンレー電気(6923)では「フォトニック結晶レーザーの短パルス化・短波長化」について展示していた。

ウシオ電機(6925)のブースでは、LED・LD製品、光除菌・空気浄化技術を紹介していた。今回は半導体分野の展示はなかったがお話を伺うと、もともと映画のランプで高出力の技術を培ってきた同社では産業用ランプでも世界シェアとなっている。工場の省人化が進むなか、センシングにも力を発揮。「マシンビジョン」向けの製品も増えているそうだ。次世代半導体量産用のEUV光源も今後の拡大が期待されている。

QDレーザ(6613)は、「561nm」などの波長の半導体レーザを実現した医療用検査装置などを展示していた。様々な波長のレーザや超短パルスレーザで新たな測り方や加工が可能になるという。株式市場で有名なのは超小型プロジェクターで、網膜の上に直接映像を映し出すレーザ網膜走査技術を採用した頭部装着ディスプレーだろう。

オキサイド(6521)のブースには様々な「単結晶」が展示されていた。酸化物単結晶や光部品、レーザ加工機、計測装置などの開発や販売を手掛ける会社である。
単結晶がカギになると聞いているがそれはどういうことなのかと質問すると、非常に丁寧にご説明くださった。天然ではダイヤモンドなどの宝石が単結晶だが、それを人工で、工学的に機能性の高いものを造るのだそうだ。ちなみに半導体も単結晶である。
人工的に造るというのは、角砂糖を溶かしてもう一度固めると氷砂糖になるイメージ。ざらざらブツブツの集まった角砂糖がひとつの氷砂糖になると透明になって先が見通せる。
単結晶は原子がきれいに同じ方向に並んでいる。きれいに向きが揃うことで機能を発現しやすくなるのだそうだ。バラバラに向いていると打ち消しあってしまう。

単結晶でできることの一つが、光を曲げる、止める、変換する。つまり光を自在に操ることで、そのための機能を持つのが酸化物(=オキサイド)、酸素を含む化合物だそうだ
こうして造った単結晶を加工し、ウエハ、チップ、光部品などになっていくわけだ。
半導体の線幅が狭くなり、光の波長も短くしないと、加工も検査もできない。紫外線、深紫外線に強みを持つこの単結晶技術が活かされるという。

単結晶、結晶を造るという技術では、実は日本は強みを持っているのだそうだ。シリコンも単結晶で、SUMCO(3436)、信越化学(4063)などが世界でも強い。振動子や発振器で使われている水晶(クォーツ)も単結晶だが、日本電波(6779)や大真空(6962)の水晶振動子、タイミングデバイスがある。
半導体となるとこうなってしまったが、とちょっと残念そうにお話いただいた。

案の定、展示を見ても全然わからないものも多く難しかった。最先端を見に行ったはずが基礎を教えていただくことになってしまった。しかし、その基本のお話がたいへんおもしろく、勉強になった。やはり直接伺うお話は、熱量がわかるぶん、格段に楽しい。展示会はやめられない。


(フリーアナウンサー/証券アナリスト かのうちあやこ)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。