かのうちあやこの「東京ゲームショウ2020オンライン」レポート

2020年9月23日(水)~9月27日(日)、「東京ゲームショウ2020 オンライン」が開催された。新型コロナウイルス感染対策のため初のオンライン開催となった。

ゲームはそもそもパソコンやスマホの画面の中のモノであり、オンラインとは相性が良いのではないかと思って、ある種の期待をもっていた。しかし実際は「ショウ」らしいところがだいぶ薄れたのではないか。全体を見渡して面白そうなところに行く。周りの反応を参考に自分の知らなかった人気ゲーム、新しいゲームを発掘するという楽しみがなくなってしまった。

一方で、それぞれの公式番組は楽しくつくられており、専門家、中の人の話をじっくり聞けるまたとないチャンスではあった。これがオンデマンドになっていて何時でも視聴できる、しかもあの混雑に煩わされることなくゆっくり見られるのは非常に楽だ。これはオンライン展示会ならではの良さで、これからはこの形も併用されるといいなと思う。

各社の公式番組では、新作の紹介などがなされ、実機プレイ映像は人気が高かった。というのは私はYouTubeで視聴していて、チャット欄のコメントで盛り上がり度合を知ったわけだが、今回視聴できる動画プラットフォームは、YouTubeのほか、Twitter、Twitch、niconico、TikTok Live、Douyu(中国)等のほか、Amazon特設会場もあった。Amazonでは、紹介されたゲームがそのまま画面上のカートに入れると予約注文できたり、フィギュアが買えたりして、これも時代を感じさせる体験だった。

基調講演は「未来は、まずゲームにやって来る」という題で行われた。基調講演といっても4名のトークセッションで、カジュアルな感じなのはオンラインならではだろうか。うちふたりがリモート、そのうちひとりは大阪から参加。スタジオへの登場もCG映画のようなかたちで、いかにもオンライン開催らしいたてつけだったが、音質が悪いのはとても気になった。

テーマはまず次世代機の未来。専門セッション「2021年に向けたゲーム業界最新技術トレンド」も視聴したが、こちらももちろんこの年末に出る次世代機がテーマだ。両セッションともその性能の高さから話が進んだ。ハードウェアとしての性能、高速SSD、CPU、GPUのパワーにはエンジニアも驚いたそうだ。それをユーザーのゲーム体験にどう繋げていくか、「開発陣は挑戦状を叩きつけられたような気持ち」になったという。コーディネーターから、「ユーザーとしてはもうこれ以上のものがあるのか、もう満足という気分だったが。」という問いかけがあった。私自身もそう思っていたが、開発者の方にしてみればできることが圧倒的に増えたのだそうだ。解像度あがったということは情報の受け取りが多くなり、ゲームとして作り方が変わる。考え方を違うほうにシフトしないとこの性能を使いこなせない。10年以上あった「ローディング」がなくなる。この性能を使いこなしどうやって「遊び」におとしこんでいくのか、考え方、視点を変えて開発していきたいということだった。

専門セッションの方では次世代機の値段設定についても驚きがあったとの話が出ていた。特に、光学ドライブのないバージョンはかなり安い設定で、サブスクリプションに向けて普及させたい意向が見えるという。これからの勝負どころは定額課金システムへの移行、サービス面の競争になるとみていた。

ユーザーコミュニケーションもテーマになった。『フォートナイト』やこのコロナ禍でさらなるヒットとなった『あつまれ どうぶつの森』でSNS的な使われ方が話題になったが、スマホの普及などでネットワークを通じたコミュニケーション自体が普通になった今、それがゲームであっても、MMORPGなどで大人数が同じ「場所」に集まれば、そこにコミュニケーションは生じて当然だとの指摘があった。確かに人間が集まり、しかも同じ趣味をもち、同じゲームをプレイする仲間であれば、そこに交流があるのは当たり前なのかもしれない。または逆も考えられ、人があつまるところにゲームが発生することもあるのだろうということだった。垣根がなくなり、新しいプラットフォームが生まれる未来もありそうだと語られた。

また、『FFVII リメイク』は実況配信が盛り上がったという。緊急事態宣言の真っ最中の発売で、企画していたリアルイベントがすべて飛んでしまい、実況動画を通じて情報が広まった。「ありがたかったし、いまはこういう時代なんだと、改めて実感しました」。『鉄拳』のeスポーツ大会、『アイドルマスター』のライブというリアルイベントも行えなかったが、オンラインイベントの実況動画はファンが盛り上がり、「そうしたSNSによる展開もまた“ゲーム体験”の一環として、再認識」したという。今回、一気にオンラインイベントに変えることにより、これまで全くやったことがないと気づいたそうだ。これからはユーザー同士のつながりも含めたゲーム体験を考えて作っていくことが鍵になりそうだ。

ゲームはまたあらたな段階に来ている。この年末に出る次世代機、Amazonの参入も発表されたストリーミングゲーム。VR・ARゲームも新型機がまもなく発売される 。どんな新しい体験を提供してくれるのか、楽しみに待ちたい。


(フリーアナウンサー/証券アナリスト かのうちあやこ)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。