ここから示現しそうな3つのストーリーから銘柄選択

5月11日-13日の日経平均2,000円急落からの持ち直し

日経平均株価は5月11日-13日の3営業日で計2,000円の下げとなった。安値(終値)は27,448円01銭だ。主因は米時間5月10日のNASDAQが2.55%、フィラデルフィア半導体株指数が4.66%安と急落したことだ。背景には、ファウンドリー(半導体の受託製造)世界最大手のTSMC(台湾積体電路製造)が発表した2021年4月の連結売上高が、前年同月比16.0%増の1,113億1,479万台湾元(約4,364億円)と11カ月連続で1,000億元の大台を超えたものの、

単月の過去最高額となった3月からは13.8%減少したことによって、コロナ禍の中で拡大していた半導体市場の頭打ちが懸念されたものだ。同時に、これまでコロナ感染抑制の優等生とされていた台湾で(その時点では)経路不明の新型コロナ市中感染が確認され、台湾当局が警戒レベルを引き上げる方針が伝わったことも波乱に拍車をかけた格好となった。東京株式市場でも半導体製造装置大手の「東京エレクトロン(8035)」、「SCREENホールディングス(7735)」、「レーザーテック(6920)」などが売りを浴びた。ただ、その後懸念が広がることはなく、台湾域内ではその後も一日に300人-400人の新規コロナ感染者が報告されているものの、株式市場への影響は軽微だ。むしろ台湾TSMC社の巨額設備投資(2021年に300億米ドルを予定)を背景に、日本の半導体製造装置企業の業績好調を再評価する流れになっている。東京エレクトロンは5月13日の安値44,300円、SCREENホールディングスは同安値9,280円、レーザーテックも同安値16,700円が目先の底だったと見ていいだろう。


バリュー株の入れ替わりとワクチン接種好感銘柄

昨年11月、ワクチン完成を契機に買われたのは景気敏感株(バリュー株)だ。ワクチン接種の進展による世界景気の回復を見通したものだが、鉄鋼株・非鉄金属株・海運株などが買われた。これら景気敏感株も、その多くは5月11日-13日の急落を契機に売られる展開になったが、一方で「日立製作所(6501)」「富士通(6702)」「トヨタ自動車(7203)」「いすゞ自動車(7202)」など電機、自動車セクターのバリュー株は年初来高値を更新する動きとなっている。日立製作所は20年来の高値、トヨタ自動車は上場来高値を更新していることから、バリュー株への物色意欲が消失したわけではなく、鉄鋼・非鉄・海運セクターは全体相場急落をきっかけに利食いの動きが出たのではと推察される。より値動きに勝る銘柄に資金が移っているのだろう。

この中で、欧米に比べ遅れていたワクチン接種は日本でも本格化している。5月21日、厚生労働省は米モデルナ製と英アストラゼネカ製のコロナワクチンを正式承認した。既に使用されている米ファイザー製を含めて政府が契約したワクチン計3製品が全て使えるようになった(英アストラゼネカ製は当面接種が見送られた)。政府はモデルナ製ワクチンを24日から防衛省・自衛隊が開設している東京や大阪の「大規模接種センター」を中心に使用している。新たにワクチンが承認されたことで、ワクチンの供給懸念は消失したものと見られる。政府は65歳以上の高齢者を対象とするワクチン接種を7月末に完了させたいとしているが、政府が全国1,741の市区町村を対象に終了時期の見通しを調査したところ(5/21)、全体の93%の自治体が7月末までに完了可能との回答だったとしている。その前週(5/14)時点では全体の86%の自治体が同回答をしていたが、対策や支援によって増えた格好だ。ワクチン接種は今後スピードアップする印象がある。緊急事態宣言は6月20日まで延長が決定された。4月25日に発令された東京、京都、大阪、兵庫、5月12日から追加された愛知と福岡、16日から追加された北海道、岡山、広島が対象だ(5月23日に追加された沖縄県はもともと6月20日まで)。もちろん、緊急事態宣言下でもワクチン接種は進展していく。コロナへの危機意識が強まり、やはり加速するだろう。そうなれば、思いのほか早い経済活動再開が見通せることになる。株式市場は先見性を有しているとされており、いち早く個別銘柄に動意が見られるかもしれない。コロナによる悪影響を強く受けた「JR東海(9022)」「JR東日本(9020)」などの動きにも注目していきたい。


【株価持ち直し期待/半導体製造装置】

東京エレクトロン(8035)


SCREENホールディングス(7735)


レーザーテック(6920)


【一段高期待/電機・自動車】

日立製作所(6501)

富士通(6702)

トヨタ自動車(7203)

いすゞ自動車(7202)


【経済活動再開先取り期待/陸運】

JR東海(9022)

JR東日本(9020)


(株式ジャーナリスト 天海 源一郎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。