これだけはおさえておきたい株式投資に重要な3指標

米中貿易摩擦、中東情勢の緊迫化、ブレグジットなどの不安材料や、トランプ米大統領のツイートなど、相場の不確定要素には事欠きませんが、日経平均株価は6月に入ってから堅調に推移していますし、米国株式市場ではNYダウ平均株価が過去最高値を更新しています。

多くの情報を入手が可能になった昨今では、投資に関する情報もあふれており、必要のない情報はノイズとして排除していくことも大切でしょう。本稿では長期的な株式投資の判断において、これだけはおさえておきたい3つの指標をピックアップしました(データは2019年7月8日時点のものです)。

①米国の失業率

一般に、景気拡大期には雇用環境が改善し、失業率は低下します。反対に景気低迷期は雇用環境が悪化し、失業率は上昇します。図1は米国の失業率、失業率の5カ月の移動平均、NYダウ平均株価の月次データです。

長期的な視点で見た場合、米国の株式相場は米国の失業率と反対に動く傾向があり、失業率が低下傾向にあるとき株価は上昇傾向にあり、失業率の低下傾向が止まり、移動平均が横ばいから上昇傾向になると株価は下落していたことが分かります。

失業率のトレンドを判断するには数カ月程度必要ですが、明確に上昇傾向に転じた場合は株式相場の下落シグナルです。失業率のチャートはセントルイス連銀のホームページで見ることができます。

②米国債のイールドスプレッド

長期国債の利回り(イールド)と短期国債の利回りを比べた場合、一般に長期国債の利回りの方が短期国債の利回りよりも高くなりますが、利回りが逆転することがあります。これを「逆イールド」と呼びます。

図2は「10年債利回りと2年債利回りの差」とNYダウ平均株価の関係を見たものです。「10年-2年スプレッド」が赤くなっている部分が「逆イールド」発生の時期です。株価との関係で言えば、過去2回「逆イールド」が発生した数カ月後に株価が大幅に下落していたことが分かります。

「逆イールド」の発生はどの年限を見るかによっても変わりますが、10年と2年は各種メディアでも目にすることが多いので、チェックするのが容易です。「逆イールド」も株式相場のピークを見るための先行指標として注目したいところです。「10年-2年スプレッド」のチャートもセントルイス連銀のホームページで見ることができます。

③日米欧の中央銀行の保有資産

6月以降の株式市場の反転の要因として、パウエルFRB議長やドラギECB総裁のハト派的な発言によるものが大きいと考えられます。2008年の金融危機以来、日米欧の中央銀行の資産買い入れを中心とする量的緩和によって株高がもたらされましたから、中央銀行当局者のハト派的な発言によって、株式市場は資産買い入れの再開を織り込み始めていると思われます。

日米欧の中央銀行の資産合計額と日経平均株価の関係を見たのが図3と図4です。日米欧の中央銀行の資産額が増え続けるのであれば株式は「買い」、減少していくのであれば株式は「売り」と考えます。

日米欧の中央銀行の保有資産のチャートもセントルイス連銀のホームページで見ることができます。なお、セントルイス連銀のホームページのチャートは保有資産額が各通貨ベースとなっているので、合計して見てみたい場合はデータをダウンロードしてスプレッドシートなどで為替レートを勘案する必要があります。

まとめ

以上の3指標はセントルイス連銀のホームページで更新されているので、各ページをブラウザの「お気に入り」などに登録して毎月監視しましょう。失業率とイールドスプレッドのどちらかに危険な兆候が出れば株式投資の比率を落とすことを検討してはいかがでしょうか。個人的に株式市場への影響度が最も強いと思うのは資産買い入れによる量的緩和の動向です。資産買い入れに関するニュースはチェックしておきましょう。特にFRBとECBの方針には注目です。


(eワラント証券 投資情報室)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。