これだけはおさえておきたい株式投資に重要な3指標

新型コロナウイルスの感染拡大は続いていますが、各国政府・中央銀行による財政・金融政策の効果及び経済正常化への期待感から、日経平均株価は30年ぶりに3万円の大台を突破し、米国株式市場でもNYダウ平均株価が過去最高値を更新しています。

多くの情報を入手が可能になった昨今では、投資に関する情報もあふれており、必要のない情報はノイズとして排除していくことも大切でしょう。本稿では長期的な株式投資の判断において、これだけはおさえておきたい3つの指標をピックアップしました。


①米国の失業率

一般に、景気拡大期には雇用環境が改善し、失業率は低下します。反対に景気低迷期は雇用環境が悪化し、失業率は上昇します。図1は米国の失業率、失業率の5カ月の移動平均、NYダウ平均株価の月次データです。

長期的な視点で見た場合、米国の株式相場は米国の失業率と反対に動く傾向があり、失業率が低下傾向にあるとき株価は上昇傾向にあり、失業率の低下傾向が止まり、移動平均が横ばいから上昇傾向になると株価は下落していたことが分かります。


②米国債のイールドスプレッド

長期国債の利回り(イールド)と短期国債の利回りを比べた場合、一般に長期国債の利回りの方が短期国債の利回りよりも高くなります。図2は「10年債利回りと2年債利回りの差」とNYダウ平均株価の関係を見たものです。「10年-2年スプレッド」が赤くなっている部分は「逆イールド」、すなわち長短金利の逆転現象が発生していた時期です。また、月次の図では明らかにはなっていませんが、2019年8月にも逆イールドが発生しています。


株価との関係で言えば、過去2回「逆イールド」が発生した時(2000年、2006-7年)には、その後に長短金利差が拡大していく中で株価が大幅に下落していたことが分かります。今回も2019年8月に逆イールドが発生したのちに、2020年3月に大きく株価が下落しています。

イールドスプレッドはどの年限を見るかによっても変わりますが、10年と2年は各種メディアでも目にすることが多いので、チェックするのが容易です。株式相場を占う指標の一つとして注目したいところです。


③日米欧の中央銀行の保有資産

4月以降の株式市場反転の大きな要因として、FRB、ECB、日銀ほか各国の中央銀行が行った大規模な金融緩和によるものが大きいと考えられます。2008年の金融危機以来、日米欧の中央銀行の資産買い入れを中心とする量的緩和によって株高がもたらされましたが、コロナショック以降はその時を上回るペースで主要中銀が資産買い入れを進めています。

日米欧の中央銀行の資産合計額と日経平均株価の関係を見たのが図3と図4です。日米欧の中央銀行の資産額が増え続けるのであれば株式は「買い」、減少していくのであれば株式は「売り」と考えます。



3指標を見比べて

新型コロナウイルスによるロックダウンの影響で失業率は急速に悪化しましたが、その後は回復傾向にあり、1月時点では6.3%なっています。ただし、新型コロナウイルスの感染拡大前の失業率は3.5%とほぼ完全雇用の状態にあったのと比べるとまだまだ差があります。FRBは雇用の安定を1つの命題としているため、今後も雇用の回復に向けて金融政策を続けていくことが予想されます。

では、どのような金融政策を行っていくのかですが、FF金利は既にゼロ近辺にある中で、低金利政策には(マイナス金利導入も含めて)限界がありそうです。したがって量的緩和政策の長期化または拡大が主要な施策となりそうです。前述の通り、量的緩和が続くようであれば株式市場にとっては追い風になると考えられます。

また、低金利政策の影響で短期金利が低位安定を続けており、懸念される長短金利差の逆転は起こりづらく、むしろ金利差が拡大している傾向にあります。この面からも株式を買い向かいやすい環境とも言えそうです。

リスク要因としては、2019年8月に逆イールドが発生していることです。逆イールド発生後の昨年3月に株価は急落していますが(コロナショック)、ウイルスの蔓延とそれに伴うサプライチェーンの寸断という特殊な要因が影響しています。2001年のITバブル崩壊、2008年のリーマンショック(サブプライムバブル崩壊)とは若干趣が異なるようにも感じます。新型コロナウイルス対策として超緩和的な金融政策がとられている中、さらに大きな株価下落が発生する可能性もゼロではないかもしれません。


(eワラント証券 多田 幸大)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。