また米国がくしゃみをすると、日本は風邪を引くのか

 世界的に景気が減速し始めたと言われています。本稿では景気の先行指標のひとつとされる各国製造業のPMI(購買担当者指数 図1)と株価動向(図2)とを比較し、株式市場の今後について考えていきたいと思います。

 各国の製造業PMIの推移(図1)を追ってみると、なるほど、各国の株価指数(図2)に先行して下落基調をたどっていることが確認できます。

 12月の製造業PMI公表値(図2 右端)を見てみると、日本が前月から小幅に改善しているのを除き、各国とも下落をしています。特に、中国は目安の50を割り込み、景況感の悪化を示しています。米国との通商摩擦・自国通貨安・不動産市況・公的企業の信用問題など、山積する課題の深刻さを反映しているようです。この状況は90年代の日本と酷似しているのかもしれません。

超低金利に支えられた10年間が潮目を迎えた先には?

 時間軸を過去10年に拡大してみましょう。ここでは10年前まで製造業PMIのデータが確認できる米国に解説を絞ってみます。

 製造業PMIには周期性があるようです(図3)。米国の製造業PMI(青線)はこの10年間で2回の下落を経験していますが、その期間はだいたい20ヵ月程度となっています。

 株価もこれに伴って適度な調整局面を迎えましたが、いずれも大規模な恐慌となることなく上昇に転じています。これは中央銀行による超低金利政策のたまものであったと言えるでしょう。

今後:下げ相場が続く可能性がある

 これまでの約10年と違い、昨秋以降における株式市場の下落は金利シナリオが全く異なる点で、少し勝手が違うかもしれません。

  • 金利の絶対水準が違う(過去10年多くの期間の政策金利はほぼ0%。現在は2.4%)
  • 2018年に行った大幅な減税の影響もあり、政府債務の膨張傾向が継続(金利上昇要因)

 米国債増発の影響については、中央銀行による短期の政策金利では管理することが非常に困難です。

 もう一度図3に目を戻します。これまでの10年間、米国の製造業PMIが50を下回る(景況感悪化を示す)ことは極めてまれだったことがわかります。一方、超低金利という支援材料がなかった2000年代初頭のドットコム バブル崩壊時の製造業PMIは40.80、リーマンショック時は34.50まで大きく下落しました。その際、株価も大きな調整を余儀なくされています。

 以上を考慮すると、今後米国製造業PMIが下落を続けた場合、50で下げ止まる保証はないとも言えるでしょう。その場合、株式相場もこれにしたがって、下げ幅を拡大する可能性が考えられます。また、米国経済が依然として世界第一位であることを考えると、この影響が多くの国に及ぶであろうことは容易に想像されます。

(eワラント証券 投資情報室 チーフ・ストラテジスト 塚本 誠)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。