イニシャルレンジブレイクとは?~理にかなったトレード手法~

皆さん、イニシャルレンジブレイクという言葉をご存じですか?

移動平均線、パラボリック、ボリンジャーバンド、MACD、一目均衡表など挙げればキリがないのが相場におけるテクニカル分析です。

自分なりにこれだ!と思ったものを見つけては、突然あてはまらなくなったり・・・というのが相場の常ですよね。

今回はそんなテクニカル分析の中でも、意外に知られておらず、そして比較的有効であろう(私の個人的見解ですが・・・)「イニシャルレンジブレイク」という戦略を解説します。

イニシャルレンジとは?

いきなりですが、イニシャルレンジとは何でしょうか?
イニシャル(Initial)の和訳を調べてみると「初めの、最初の」と出てきます。
つまりイニシャルレンジとは、「最初の範囲」という意味になります。
それでは“最初の範囲”とは一体、何時から何時までのことを言うのでしょうか?

これは対象相場によって変わってくるのですが、株式市場においては、朝の9時から10時までの1時間をイニシャルレンジと呼んだりします。

一般的には9時~10時を指すことが多いのですが、9時~9時半と定義して使われる投資家の方々もいたりとさまざまです。

単純明快!イニシャルレンジブレイクとは?

もうお分かりかと思いますが、イニシャルレンジブレイクとは、つまるところ「イニシャルレンジをブレイクする(突破する)」という意味になります。

下の図を見てください。
2019年10月23日の弁護士ドットコム(6027)の5分足チャートです。


青い点線で示した範囲が、イニシャルレンジになります。
このレンジをブレイク(突破)したら、順張りでポジションを取りましょう!というのがイニシャルレンジブレイク戦略になります。

この事例で言うと、ちょうどイニシャルレンジが確定した10時過ぎの段階で綺麗に上方向にブレイクしたことになります。
もし教科書通りにポジションを取っていれば、4,280円で買って、引値の4,430円で売却。
150円(約3.5%)の値幅を取ることが出来た計算になります。

このケースはたまたま3.5%も値幅を取ることが出来ましたが、この戦略は最初の1時間は様子見するわけですから、後出しじゃんけん的な要素があります。

従って、通常ですと1%程度の値幅も取れるかどうか定かではない事例も多々あります。
しかしeワラントでしたら、レバレッジが効いていますから、対象の株価が1%程度の値動きでもそれ以上のリターンを狙える可能性があります。

なぜイニシャルレンジが大事なのか?

これには理論的な背景が幾つかあります。

  1. ①寄付から1時間が1日の中で一番出来高の多い時間帯であり、そこにはパワーが溜まっている。
    1日の出来高の約30%~40%(銘柄によって違いはありますが)がこの時間帯に存在するのが一般的です。従って、そこには大きなマグマ溜まりのようなエネルギーが溜まっており、そこをブレイクした時のロスカット注文のサイズが他の時間帯のものに比べ大きく、相場を順張り方向に動かす要因になります。
  1. ②VWAP取引などの大口のアルゴリズム取引が走っている可能性が高い。
    1日の出来高の数%~数10%のサイズの注文を当日出してくる大口の投資家達は、VWAP(出来高加重平均値)を目安に1日を通して売買してくることが一般的です。 ※1
    従って、そのような注文はレンジをブレイクするトリガーにもなりますし、実際にブレイクした後も大引けにかけて走り続けるため、引けにかけて順張りのトレンドを作る要因にもなります。

個人的には個別株に有効!?

ここからはあくまでも私個人の見解となりますが、日経先物などの指数に適用するよりも、個別株に当てはめた方がうまくいくと考えています。

というのも指数相場だと、市場規模が大きすぎで前述の②の要因が効果的に作用してこないという背景があるからです。

従って個別株に当てはめて使ってみるのがよいと考えます。
イニシャルレンジブレイクで、運用成績もブレイクしよう!(もちろん上方向に・・・)


(eワラント証券)

※1 証券会社が提供しているVWAPをターゲットに売買していくアルゴリズム機能を利用したり、証券会社と相対でVWAPギャランティー取引(VWAP保証取引)を事前に行い、証券会社の自己部門が代わりに日中、ヘッジ取引を行う手法などがあります。

* 本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。