2月から取扱いeワラントの新商品『ビットコインレバレッジトラッカー』のお取り扱いが始まりしたが、eワラント提供元のeワラント証券の売れ筋ランキング(https://www.ewarrant.co.jp/ranking/?today-hot-sold)でビットコインレバレッジトラッカーが連日上位にランクインするなど早速ご好評をいただいています。また、3月15日からはイーサリアム先物に連動する新商品『イーサリアムレバレッジトラッカー』のお取扱いも始まります。新商品が追加となったこの機会に、eワラントを通じて暗号資産相場に代替的に投資をしてみるのもよいでしょう。
一方で、eワラント初心者の方などからは、「ビットコインの価格が動いたらどのようにeワラントの価格が変化するのかがわからない」というご意見も度々いただきます。レバレッジ商品でもCFD(差金決済取引)や投資信託・ETFとは商品性が異なるため、なかなか理解が難しい側面もあるようです。
そこで本コンテンツでは、3月15日に新規追加されるビットコインレバレッジトラッカー4銘柄とイーサリアムレバレッジトラッカー4銘柄について、対象原資産である各先物(リンク債)の価格毎のeワラント価格の試算表をご用意しました。
ビットコインレバレッジトラッカーの価格早見表
2021年3月の銘柄追加では、2021年5月限月のビットコイン先物リンク債を対象とするプラス5倍トラッカー2銘柄、マイナス3倍トラッカー2銘柄が追加となります。いずれの銘柄も満期日は2021年5月12日となっておりますが、各銘柄によって権利行使価格が異なります。具体的にはプラス5倍トラッカーは権利行使価格が20,000米ドルと40,000米ドルの2銘柄、マイナス3倍トラッカーは65,000米ドルと85,000米ドルの2銘柄があります。
表1は米ドル対円相場が108.5円で不変であるとした場合の、ビットコイン先物リンク債_2021年5月限を対象とする各レバレッジトラッカーの売却価格(買い気配値)の試算結果をまとめたものです。

例えば、プラス5倍トラッカーであれば、ビットコイン先物(リンク債)の価格が500米ドル上昇するごとにどちらの銘柄も2.71~2.72円ずつ上昇することがわかります(eワラントの価格は小数点第3位以下を切り上げているので、0.01円の差異が発生しています)。仮に、1原資産(=1BTC)に相当する100万ワラント(1÷1ワラント当たり原資産数(0.000001))を保有していた場合、評価額は271~272万円上昇することになり、これはビットコイン先物(リンク債)の上昇幅(500米ドル)のプラス5倍に相当します(5×500米ドル×108.5円)。
どちらも上昇幅が同じであれば、権利行使価格の異なる複数の銘柄間でどのような違いがあるのでしょうか。実は、ワラントレバレッジと自動ロスカットリスクに違いがあります。
例えば、ビットコイン先物(リンク債)が50,000米ドルの時、プラス5倍トラッカー第1回の売却価格は23.28円、第2回の売却価格は12.43円となります。仮に、その後ビットコイン先物(リンク債)の価格が60,000米ドルに上昇した場合(+20%)、第1回の価格は28.70円(+23.3%)、第2回の価格は17.85円(+43.6%)となります。上昇幅で見るとどちらも5.42円と差はありませんが、上昇率でみると第2回の上昇率が第1回の2倍近くに大きくなります。プラス5倍トラッカー型に同じ金額を投資するのであれば、権利行使価格が高い銘柄のほうが資金効率が良いということになります。逆にマイナス3倍トラッカー型であれば、権利行使価格が低い銘柄のほうが資金効率は良くなります。
では、プラス5倍トラッカー型の場合は権利行使価格が高い銘柄を、マイナス3倍トラッカー型の場合は権利行使価格が低い銘柄を選べばよいのかといえばそうではありません。レバレッジトラッカー(プラス5倍、マイナス3倍)には自動ロスカットという機能が具備されており、買取価格が一度でも1円を下回った場合、自動ロスカットにより満期決済金額が確定かつ固定され、1円以下での固定価格による買取のみが行われます。自動ロスカットが実行されると、その後に価格が戻ったとしても、レバレッジトラッカーの価格は原資産に連動しなくなってしまいますので、レバレッジトラッカーを取引するうえでは大きなリスクとなります。
では、3月15日より取引が開始されるビットコイン先物(リンク債)2021年5月限を対象とするレバレッジトラッカーの場合、ビットコイン先物(リンク債)がいくらになれば自動ロスカットが発生してしまうかですが、プラス5倍トラッカー第1回は8,940米ドル未満、第2回は28,940米ドル未満となります。言い換えると、プラス5倍トラッカー型の場合、権利行使価格が高い銘柄のほうが自動ロスカットの発生リスクが高いということになります。逆に、マイナス3倍トラッカー第1回は77,289米ドル以上、第2回は97,289米ドル以上となり、権利行使価格が低い銘柄のほうが自動ロスカットは発生しやすくなります。
以上の点を考慮すると、以下のような観点で銘柄を選ぶことができます。
- より高いレバレッジ効果を求める場合:権利行使価格の高いプラス5倍トラッカー又は権利行使価格の低いマイナス3倍トラッカー
- 自動ロスカットのリスクを低減する場合:権利行使価格の低いプラス5倍トラッカー又は権利行使価格の高いマイナス3倍トラッカー
イーサリアムレバレッジトラッカーの価格早見表
また、2021年3月の銘柄には、新たに2021年3月限月のイーサリアム先物(リンク債)を対象とするレバレッジトラッカーが追加となります。プラス5倍トラッカーは権利行使価格が900米ドルと1,750米ドルの2銘柄、マイナス3倍トラッカーは2,150米ドルと3,150米ドルの2銘柄があります。
同様に、米ドル対円相場が108.5円で不変であるとした場合の、ビットコイン先物リンク債_2021年5月限を対象とする各レバレッジトラッカーの売却価格(買い気配値)の試算結果をまとめたものが表2です。

これらを参考にビットコインレバレッジトラッカー、イーサリアムレバレッジトラッカーの銘柄選び、買付・売却の目標額を検討してみるのも良いでしょう。
ご注意ください
なお、表1、表2は米ドル対円相場が108.5円で不変であるという前提に基づいて計算してあることにご注意ください。ビットコイン先物リンク債、イーサリアム先物リンク債の原資産であるビットコイン先物価格、イーサリアム先物価格は米ドルが取引通貨となっているため、ビットコインレバレッジトラッカー、イーサリアムレバレッジトラッカーの価格は米ドルの対円外国為替相場の影響を受けることに注意が必要です。
また、ビットコインレバレッジトラッカー、イーサリアムレバレッジトラッカーの対象原資産であるビットコイン先物リンク債、イーサリアム先物リンク債はマーケットメイカーが合理的に計算した特定限月のビットコイン先物、イーサリアム先物に連動する投資成果をもとにした債券です。必ずしも先物価格に一致するとは限りませんのでご注意ください。
(eワラント証券)
※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。