オプションを取引するタイミングとは?

第4回も読んでいただき有難うございます!

第3回では、オプション価格に影響を与える主な4つの要因を理解されたかと思います。
第4回では、それを踏まえて「どういうタイミングで売買するのが良いのか?」というポイントに主眼を置いて解説したいと思います。

オプションを取引するタイミングは?

全部で4つあると考えられます。

  1. ①既に保有しているポジションのリスクを回避(ヘッジ)したい時。
  2. ②既に保有しているポジションにプラスαのリターンを追加したい時。
  3. ③どちらの方向に動くか分からないけど、大きく変動することが予想される時。
  4. ④膠着相場でどちらにも大きく変動しない時。

それでは順番に見ていきましょう。

保有しているポジションのリスクヘッジ

これは専門用語でプロテクティブプットと呼ばれている戦略に該当します。
例えば自動車保険を想定してみてください。
事故が起こるかどうかは誰も分かりません。でも起こってしまったら数十万~数百万の損害になるかもしれません。「だったら掛け捨てになってもいいから、年間数万円の自動車保険に入っておいてもいいかな。」と考えるのが一般的かと思います。

この①のケースも全く同じ動機になります。
「今保有している株、上がると思ってるんだけど、決算前だしどう転ぶか分からない・・・売ってしまおうかな」と考えている場合に保険をかけるんです。
「オプション料だけ掛け捨てになっちゃうけど、何かあっても保険かけてあるし、特に何も起きなくても保険料だけがなくなるわけだから」と考えればいいんです。

これが一番しっくりくるオプションの使い方かもしれませんね。

保有しているポジションにプラスαをつける!

これは既に保有しているポジションに金利を上乗せする戦略で、専門用語でカバードコールと呼ばれているものになります。
短期保有ではなく、長期で保有している株がある際に、もちろん配当をもらいつつそのまま保有するのもいいのですが、〇〇円まで上がったら売りたいという思いが事前にあるのであれば、コールオプションを売るという技があるんです。
そうすると、保険の買い手ではなく、保険の売り手である保険会社の立場になり、保険料をもらうことができるんです
しかし!〇〇円以上に株が値上がりすれば、保険を買った人にお金を払わないといけません。
でも安心してください。既に保有している株があるわけですから、その株の利益と相殺できます。しかも〇〇円で売ることと同じ意味合いになりますから、当初の思い通りになるのです。

長い説明になりましたが、保険料にあたる金利をもらうことが出来て、且つ万一相場が上昇してしまっても、損して売るのではなく、当初の売りたい価格で売ることになる戦略。これがカバードコールなんです。

これもオプションの面白い使い方ですよね。

どちらに動くか分からないけど、大きく動きそうと予想できるときは?

今度は何も保有していないノーポジションの時の話です。
大きなイベントや、決算発表前など、どっちに動くか分からないけど、上下に相場が荒れそうだと予想できるときは、ぜひコールオプションとプットオプションを両方買ってみましょう。専門用語ではロングストラドルという名前になります。
上がれば受取金発生の掛け捨て保険(コール)と、下がれば受取金発生の掛け捨て保険(プット)の両方を購入するとどうなるでしょうか?

上がったらコールから受取金発生で、プットは掛け捨て。
下がったらプットから受取金発生で、コールは掛け捨て。

もうお分かりですね?
どっちでもいいので、大きく動けば掛け捨てた保険料以上に受取金が発生し、利益が出る仕組みになるんです。

なんか不思議ですけど、面白いですよねー。

膠着相場で面白くもなんともない相場展開を予想するときは?

今度も何も保有していないノーポジション状態の話です。
しかも相場を動かす要因(カタリスト)も特段なく、変動の小さい膠着相場を予想する時は、コールとプットの両方を売ってみましょう。専門用語では、ショートストラドルという名前になります。
これは純粋に保険の売り手、つまり保険会社になるのと同じですから、保険料収入が唯一の収入になります。金利商品がお好みの方は、時と場合によっては年率換算で数十%のリターンが見込めることもある戦略ですから、とても魅力的に見えるかもしれません。
しかしこちらの戦略だけは、要注意な点がありまして、予想通りにいかず相場が大きく動いてしまった場合に、多額の損失を被ってしまうリスクがあるということです。

平常時であれば、保険会社は確率論的に計算して保険を売っていますから、稼げる仕組みになってはいますが、どうしても統計値から外れたイベントは付き物です。
大型台風の到来や大規模地震などで保険会社の支払いが増え、赤字になってしまうケースがあるのと同じですね。

まとめると?

今までの話をまとめると以下の通りです。

もちろんコールやプットを裸で持つことも十分有効な戦略と言えることをお忘れなく。
例えば、決算前に「上方向に行きそうだなー、でも間違った時にストップ安になると怖いしなー」と考えている皆さんにとっては、コール買いが有効な戦略になるでしょう。
オプションの魅力は何と言っても「掛け捨て保険と同じ」、つまり損失限定というポイントなんですから。

以上、第4回にわたって、オプションについて解説してきましたが、如何だったでしょうか?
少しでも皆さんの投資のお役に立てれば幸いです。

もし、「もっと深い話が知りたい」A、「ここがまだ分からない」など、ご質問やご要望がありましたらお問合せください。ご質問お待ちしております!


(eワラント証券 トレーディング部ヴァイスプレジデント 吉野 真太郎)

※A さらにもっと深い話をお知りになりたい方は、私が執筆しています「知って得するオプション講座~ギリシャ文字を知ろう~」のシリーズも読んで頂けると面白いかもしれません。

* 本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。