ガンマを知ってオプションを制す!?

第2回も読んでいただき有難うございます!

それでは、第1回の最後に出題した問題の解説から始めたいと思います。

トヨタ自動車1株の時価:7,000円
トヨタ自動車のプットオプションの価格:150円
【満期:3カ月,権利行使価格:7,000円,デルタ:50%】
※プットオプション1単位あたり、原資産1株に相当するものとします。

Q:Aさんはトヨタ自動車を100株保有しています。近い将来の下落リスクに備えて、上記のプットオプションを使って、保有株のヘッジをしたいと考えています。何単位のプットオプションを購入すればフルヘッジできるでしょうか?

A:まずは、保有しているトヨタ株のリスクを計算してみましょう。
トヨタ株の保有金額=7,000円×100株=70万円
つまり、70万円トヨタ株をロングしている状態ですね。

では、この70万円をフルヘッジするには、どうすれば良いのでしょうか?

話を分かりやすくするために、まずは100株のヘッジをすれば良いのですから、100株に相当する100単位だけプットオプションを保有してみましょう。
トヨタ株のプットオプション=150円×100単位=15,000円

え!?たった15,000円だけプットを買っておけば、70万円のトヨタ株のリスクをフルヘッジできちゃうんですか!?

そうじゃないですよね(笑)。

例えば、トヨタ株が300円値下がりしたケースを考えてみてください。300円×100株の損失、つまり3万円の損失になります。

一方、プットの方はどうでしょう?当初150円だったオプション価格が、株と同様に300円値上がりして450円になってくれれば、300円×100単位の利益、つまり3万円の利益になります。

さあ、学習したばかりのデルタ君の出番です。
50%デルタのプットオプションが、原資産が300円変化した時に、300円変化するでしょうか?

するわけないですよね?(笑)

300円×50%=150円しか変化しませんよね。A

つまり、このプットオプションを100単位だけ保有していても、株の保有リスクの半分だけしかヘッジできてないんです。

じゃあどうすればいいの?

簡単ですね。2倍の200単位保有すれば良いだけですよね。当初想定したよりも、2倍に相当する3万円もの保険料が必要になりますが、そうすれば300円×50%×200単位=3万円の利益がちゃんと確保できるんです。

3万円の保険料って高いようにも感じますが、たった3万円で70万円の投資金額を完全にヘッジ出来るのですから、オプションって便利ですよね!

皆さんも、ぜひオプションを使ったリスクヘッジを試してみてくださいね。

ガンマって?

今回、ぜひ知っておいてもらいたいギリシャ文字は、“ガンマ”です。
“デルタ”の時と同様に、日経平均株価のオプションを事例に解説していきますね。
まずは数式を書いちゃいます。

どうでしょう?これも簡単ですよね?

つまり原資産が1だけ変動した時に、デルタの値がどれだけ変化するか?
これがガンマなんです。

え?デルタの値って変化するんですか!?

池上彰さんなら、きっとこう言うはずです。「いい質問ですねぇ」と(笑)。

そうなんです。原資産が変動することによって、デルタも一緒に変動していくのがオプションの特徴なんですよね。

現物株のデルタはどうでしょうか?変動しませんよね?どれだけ株が変動しようが、デルタは1のままとなります。

でも、オプションの世界では変わっちゃうんです。そしてそれこそが、オプションが時には加速度的に利益を生み出すことになる源なんです。

そして、皆さん!
なんと、このデルタの変化は、オプションの買い手にとって常に有利な方向に動くんです!

例えば、コールを持っている人にしたら、相場が上がればデルタが大きくなり、相場が下がればデルタが小さくなって欲しいですよね?

まさにその通りに動いてくれるんです。その結果、相場が上昇すればするほど、それまでのスピード以上に利益が増えていき、相場が下落すればするほど、損失は損失ですが、その損失スピードが小さくなってくれるんです。

オプションって便利ですよね!B

では、最後に理解度チェックも兼ねて、問題を。

トヨタ自動車1株の時価:7,000円
トヨタ自動車のプットオプションの価格:150円
【満期:1カ月,権利行使価格:7,000円,デルタ:50%,ガンマ:0.00057】
※プットオプション1単位あたり、原資産1株に相当するものとします。

Q:Aさんはトヨタ自動車を100株保有しています。一方、Bさんはトヨタ自動車のコールオプションを200単位保有しています。今、株価が500円上昇した時に、両者の利益はどちらがどれだけ多くなるでしょうか?C

答えは、第3回の「ベガとは?」の冒頭で解説しますね!


(eワラント証券 トレーディング部 ヴァイスプレジデント 吉野 真太郎)

※A  ここでは、ガンマの効果、セータによる時間的価値の減少などを考慮していません。
※B  ここでは、セータ(時間的価値の減少)の概念は省略していますので、このような表現にしてあります。
※C  参考までに、オプションの価格変動は、以下の式で近似できることが知られています。

* 本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。