第6回も読んでいただき有難うございます!
さっそくですが、第5回では「デルタはオプションカーブの接線の傾きであり、その傾きが原資産の動きによって変化する」、と学習しましたよね。
今回はその続編として、「それじゃあ、どうやってその“デルタが変化する”という事実を取引に活かしてあげれば良いのか?」という内容を学習していこうと思います。
ガンマを取引しよう!
さて、いきなりですが、じゃあガンマって結局何だったのでしょうか?
言葉で言えば、「原資産の変化に対する、デルタの変化」でしたが、前回でも取り上げた下図を使って説明するとなると、一体、何がガンマなのでしょうか?
答えは、オプションカーブの“曲がり”です。
青の実線で表したオプションカーブを見てください。赤の実線で表した満期曲線に向かって下に凸な形をしていますよね?この曲がり具合がガンマなのです。

この曲がりがあるからこそ、接線の傾きが変化するのです。言い換えるならば、ガンマがあるからこそ、デルタが変化することになるのです。従って、デルタが一定の株式投資においては、ガンマはゼロという言い方もできます。
そして、このガンマを利用して利益を出していくトレーディング手法なので、ガンマトレーディングという言い方をするんです。
では、少し説明が長くなってしまいましたが、いよいよ取引手法についてお話していきたいと思います。

上の図を見てください。
青の点線は、前回同様に黒の接点における接線を表しています。
では、緑の点線は何でしょうか?
これは、接点における青の接線の傾き、つまりデルタと同じ分だけ株を空売り(ショート)した時の損益線になります。
具体的に数字を使って説明しますと、コールオプション(1単位あたり、原資産1株に相当する)を100単位購入した上で、接点における接線の傾き(デルタ)が0.5だった時、50株だけ(=100株×0.5)原資産を空売りすることを意味します。
では、「コールオプションの買いと、株のショート」を組み合わせた場合、どんな合成ポジションになるでしょうか?
下図を見てください。
不思議に思うかもしれませんが、このような下に凸の曲線となります。A
さあ、いよいよガンマトレーディングの核心に来ました。
もうお気づきの方も多いことでしょう。
相場が上下どちらの方向に動いても、利益が出る構造になってませんか?
まさにこれがガンマリスクを保有するメリットなんです。
夢のような戦略ですよね!どっちに動いても儲かる可能性があるなんて・・・

でも待てよ・・・、ガンマリスク・・・?
これなら相場がどう動こうが儲かるんだから、リスクはゼロなんじゃないの?
そう思われた方もきっといると思います。
しかし、相場の世界にうまい話はないものです。
ガンマトレーディングにも欠点は当然あるんです。
それは、オプションを保有している以上、付いて回るシータの存在です。
毎日シータ分、緑の曲線が下方向に下落しちゃうんです。
下の図を見てください。
1日時間が経過することで、緑の損益曲線が下に下がっています。
これはシータ分、減価したことによるものです。
その結果、相場の方向性に関係なく儲かる構造に変化はないのですが、相場が想定よりも動かずに、真ん中の青い両矢印の範囲内で落ち着いてしまった場合は、損失となってしまうんです・・・
一瞬、これは!と思われたかもしれませんが、確実に稼ぐことができる戦略はないということですね。
しかし、相場の方向性に賭けない投資という意味では、知っておいて損はない投資戦略かと思います。

(eワラント証券)
※A 手数料及び売買スプレッドは考慮していません。
* 本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。