ゲーム ~巣ごもりからホリデー商戦へ~

2020年4〜9月期の決算が出そろった。ゲームエンタメセクターは概ね市場予想を上回る好決算だった。
ゲームセクターの業績は水ものと言われてきた。出したタイトルがヒットするかどうかで大きく変動し、予測が難しく投資しにくいセクターとされているからだ。ヒット作を生み出す人材がいるか、開発力があるかを問われるが、見極めが難しい。
もちろんヒットを生み出せる土壌は必要なのだが、この上期は旧作のリセールやキャンペーンなども奏効し、積み上げが増えてきている。
また、パッケージ版に替わり、ダウンロード版販売が増加。ソニーのPS4では4〜6月に売れたソフトのうち74%がダウンロード版だった。流通費用がかからず、在庫リスクが小さくなって収益構造が変わっている。それは各社共通で、ゲームセクター全体への投資判断を引き上げるものだと考える。

足元では4〜6月期のようなコロナ禍における巣ごもり需要の急拡大は一服したと思われるが、ゲームというものに再び目を向けた層、習慣化した人々も一定数いるのではないか。ここからはホリデーシーズン、新型機も出てきたところで話題も多く、下期も活況を期待できると思う。

巣ごもり需要の代表は任天堂の「あつまれ動物の森」(通称「あつ森」)だが、このタイトルにはSNS的な側面があることが特徴で、離れた場所にいる友人や家族とゲーム内で会えるという点で、コロナ禍にあってとりわけ価値を増した。リアルで行えない結婚式をバーチャルな「島」で挙げた人もいるという。
季節ごとのイベントがあったり、企業が発信の場として利用し仮想アイテムを使えるようにしたりもしている。米メトロポリタン美術館の展示も見られる。
売りきりのパッケージ版で買うゲームではこれはできない。通信機能があって追加していくことができるからこその楽しみ方だ。今後はゲームもサブスクリプションモデルになっていくのかもしれない。企業にとっては会員数の増加が収益につながるという利点もある。「あつ森」は自由度が高いために、自ら企画するし、企業も乗ってきたのだろうが、これからは家庭用ゲームでも開発力に加えて運営力が必要になるかもしれない。
この「あつ森」をやるために発売から4年も経ったニンテンドーSwitchを買った人は多いようで、ソフトがハードを売るという構図はかわらない。

この他、「リングフィットアドベンチャー」もSwitch販売に寄与したであろうハードの機能を存分に活かしたソフトのひとつとして貢献した。

ハードではこのホリデーシーズンにソニー、Microsoftがそろって新型機を投入した。なんとこれは7年ぶりのことで、ゲームファンにとっては待望の次世代マシンである。

ソニーの「プレイステーション5」(PS5)は超高速SSDの搭載がひとつの特徴で、ロード時間が大幅に短縮されている。実際にさわった人によれば、ロードを全く感じないらしい。これはゲームをやらない人にとってはわかりにくいと思うが、例えばゲーム中に勇者が街をどんどん歩いていくとすると、街の風景がかわったり新しい敵が出てきたりするので、そのデータを読み込む、準備する時間が必要なのだ。画面上にくるくる回るものが出てきて「now loading」となったりする。冒険している自分は途中で止められて興醒めなもの。これが、高精細画像で、オープンワールド(自由に動き回れる)でも全く出てこないというのはすごいことだ。さらに、コントローラーが振動したり、力を入れないとボタンを押せない箇所があったりと、触感でも楽しませてくれるらしい。

今回PS5はディスクドライブ搭載のスタンダードモデル49,980円と非搭載のデジタル・エディション39,980円の2タイプが発売される。デジタル・エディションではパッケージ版は使えず、ゲームを購入するのはダウンロード、または有料オンラインサービスを利用することになる。ディスクドライブ以外の性能に差がないのにこの価格はかなり安いのではないか。米Google、Amazonなど大手も参入しているクラウドゲームも拡大が見込まれるため、その動きも見据えての価格設定だと思われる。

ゲーム業界もデジタル化の波の中にあり、SNS的なプラットフォームの役割も果たすようになった。流通面でも変化が見られるようだ。これらの動きは総合的に考えてゲームの強みになっていくのではないかと思う。


(フリーアナウンサー/証券アナリスト かのうちあやこ)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。