ゲーム決算から

4-6月期の決算が出そろった。今回はゲーム、エンタメ関連の概要を見てみたい。ゲーム好きの筆者はどうしても会社を応援する気分になってしまい、通常はゲーム会社の決算内容を冷静に吟味できないのだが、今回はざっと見ただけでも特徴がはっきりしていたように思う。

業界環境はモバイルゲーム市場の飽和、家庭用ゲーム機のサイクルによるソフト需要の後退などが懸念されており良い状態ではない。そんな中で4-6月期はSMBC日興証券のカバー9社平均で34.8%営業増益だそうで、想定外に健闘したといえる。

増益要因の共通項は、アミューズメント施設の好調。クレーンゲームやガチャなどが人気だったようだ。ここにはインバウンド需要もある。そのほかでは、ゲームの開発費償却の減少や広告宣伝費の減少があげられる。これは費用コントロールが効いたという意味では重要だが、特に前向きなことでもない。

個別には、バンダイナムコ(7832)はハイターゲットと呼ぶ大人向けの高価格トイホビー商品が好調、「ワンピース」「ドラゴンボール」など主力シリーズが国内外で好調だ。スクウェア・エニックス(9684)は主力「FF」シリーズの拡張パッケージに先行して課金が増加。セガサミー(6460)は譲渡益など特殊要因があるものの、既存タイトル「サカつく」イベントなどが好調だった。カプコン(9697)は看板タイトル「モンハン」のリピート販売が拡大した。

増益4社はやはり主力タイトルの強さが目立つ。エンタメ企業にとって長寿命の強力IP(知的財産)がいかに大事かよくわかる。

では今後の見通しはどうか。やはり大型タイトルの売上動向にかかっていると思われる。どんなものが発売予定かというのは発表されているので(延期も多いが)、投資するならチェックしておきたい。(なお、スマホゲームに特化しているところならより短期で結果が出るのでセールスランキングのほうが重要。)

今年度後半の大きな予定は、ハードでは携帯用途に特化した「Nintendo Switch Lite」発売(9/20予定)だ。その任天堂はスマホゲーム大型タイトル「マリオカートツアー」配信をこの夏に予定している。

ほか、期待のタイトルをあげてみよう。カプコンは1Q好調だった「モンハン」の大型拡張タイトルが9月に発売予定だ。「デスストランディング」という新規タイトルがソニー・インタラクティブエンタテインメントメタルから11月8日発売予定。メタルギアシリーズで名を馳せた小島監督の独立後1作目ということでゲームファンの注目度が高い。セガゲームス(セガサミー)の「シェンムー3」(11月19日予定)「新サクラ大戦』(12月12日予定)、バンナムの「CODE VEIN」(年内予定)もゲームファンの期待が高い。スクエニの「FINAL FANTASY VII REMAKE」は来年3月3日の発売が予定されている。

こうしたタイトルを、どれだけの完成度でしっかり出せるか、その開発体制がきっちりしているかが会社の力であり、高騰してきている開発費をどの程度抑えるかといったことも利益を左右する。

しかし、「ゲームは水物」と言われるように当たりはずれが大きく収益の変動が大きくなってしまうのは避けたいところ。そこで最近は事前登録やベータ版テストを行うなどの工夫を行っている。

デジタル版のリピート販売も拡大。そして、サブスクリプションモデルへの移行も進めているようだ。例えば任天堂では「Nintendo Switch Online」の有料会員数が1,000万人超となり利益に貢献し始めている。

長期的には、グーグルの「Stadia」がグローバルでは11月にも先行提供されるようにクラウドストリーミングが本格化することでゲームの世界もまた変化するだろう。すぐれたIPが重要なのは変わらないが、運営力も求められそうだ。5Gの進展でARゲームも本格化するとみられている。いずれにしろさらにゲームファンを楽しませてほしいものだ。


(フリーアナウンサー/証券アナリスト かのうちあやこ)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。