コロナ感染急拡大を受けた株式市場に変化の兆し!?

意外な動きを見せる日経平均

東京都でコロナ感染者が急増している。(当稿執筆時点で)政府は、神奈川・千葉・埼玉・大阪に「緊急事態宣言」を発出する方針を固め、すでに宣言が出されている東京・沖縄を合わせ8月31日まで延長、北海道・石川・兵庫・京都・福岡にも「まん延防止等重点措置」が適用されると報道されている。核となる東京都で感染者が顕著に急増した7月26日以降の日経平均の動きを見ておきたい。

7月25日(日)1,763人(7日前比755人増加)*参考
7月26日(月)1,429人(同702人増加)/日経平均285円29銭高
7月27日(火)2,848人(同1461人増加)/同136円93銭高
7月28日(水)3,177人(同1345人増加)/同388円56銭安
7月29日(木)3,865人(同1888人増加)/同200円76銭高

388円安となった7月28日(水)は、コロナよりも投資家の関心が「中国当局の規制」を嫌気した香港、上海株式市場の下落に向かった日でもある。また感染者動向は夕方、東京都より正式に発表されるため(実際はその前に都関係者の談話としておおまかに知らされるが)、当日の様子を株式市場は織り込むことができず、翌日以降の動きが反映することになる。それにしても株式市場への悪影響が軽微に留まっている印象がある。

もちろんこの先に急転する可能性はあるものの、ここまでの要因については認識しておくべきで、何よりも「重症者があまり増えていないこと(この時点では80人前後で推移)」が指摘できる。重症者増加が限定的であれば、危惧される医療崩壊は起こらない、極度の混乱には陥らないと投資家は判断しているかもしれない。そして、日本でも接種が進んでいるコロナワクチンの効果に期待していると推察される。これを裏付けるのはワクチン接種済が多い65歳以上の高齢者の感染が少ないことだ。

7月27日夜に東京都の吉村福祉保健局長が、記者団に対し、重症化しやすい高齢者の感染が減っていることなどを挙げ、「過去とは感染状況の質が違う。医療に与える圧迫は違う(注:低い)と考えている」と述べた。1日あたりの新規感染者数をめぐって担当局長が取材に応じるのは異例のこと。感染拡大抑止に務めるとともに、不安感が広がることを防ぐ姿勢を示したと思われる。


株式市場の先見性が発揮されている可能性

ワクチン接種で先行したイギリスでは、7月19日を「自由の日」として、コロナ禍で行ってきた様々な規制をほぼすべて解除している。ジョンソン英首相は「慎重に進めなければならないが、今、経済活動を再開しなければいつになるのか」とし、デルタ変異株のため感染は増えているものの「感染と重症化・死亡の間の関係は断たれた」と強調した。イギリスの主要な株価指数「FTSE100指数」の動きも確認しておきたい。


昨年11月にコロナワクチンが完成したことを受け、マクロ経済好転を見込み反発したのは日経平均やTOPIXも同様だが、今年2月以降イギリス株は一段高となっており、ここが日本株と大きく違う点だ。背景はやはりワクチン接種の進展度合い=経済活動再開期待の違いだと思われる。7月29日時点でイギリスのワクチン接種が完了した人の割合は55.4%、対して日本は27.1%に留まっている(NHK「特設サイト新型コロナウイルス」)。

IMF(国際通貨基金)は7月27日、最新の世界経済見通しを公表、2021年の世界の成長率を前年比6.0%とした。先進国で見通しが改善した一方、発展途上国は悪化し、全体としては前回4月の予想を維持した。ただ、日本については2021年の日本の成長率を2.8%とし、前回4月時点より0.5ポイント下方修正している。新型コロナウイルスの感染が再拡大し、飲食店での営業規制などが強化されたことを反映したものだ。ただ、日本でのワクチン接種は11月末に終えるとの政府方針は維持されており、異を唱える意見も現状多くない。11月末はそれほど遠い将来ではなく、もしかすると、足元の株式市場の動きは「その時」を見通している可能性もある。仮にそうであれば、東京市場では主力大型株が外国人投資家の見直し買いによって反発する局面が予想される。


【注目される主力株の例】

ソニーグループ(6758)


富士通(6702)


ホンダ(7267)


ブリヂストン(5108)


ダイキン工業(6367)


キーエンス(6861)


(株式ジャーナリスト 天海 源一郎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。