サイバーセキュリティのカギを握るのはやっぱり半導体?

2017年5月に、世界約150か国において政府機関、病院、銀行、大手企業等のコンピュータが、ランサムウェアと呼ばれる身代金要求型の不正プログラムに感染させられる事案が発生したことを覚えている方も多いでしょう。被害件数は世界中で約30万件に上ると言われています。手口としては、「WannaCry」等と呼ばれるランサムウェアをコンピュータに感染させ、保存されている文書ファイル、映像ファイル等のデータを利用できなくし、復元してほしい場合は仮想通貨のビットコインを要求するものでした。

細分化・多層化するサイバーセキュリティ

サイバー攻撃の脅威としては、個人においてはインターネットバンキングにおける不正送金問題、企業においては機密情報の漏洩やサービス停止による利益の逸失、国家においては発電所への攻撃や防衛拠点の機能不全などがあります。サイバーセキュリティは個人、企業、国家に需要があるだけでなく、景気動向に影響を受けにくい分野ともいえ、投資の面からは有望な分野の一つでしょう。

しかし、サイバーセキュリティは簡単なものではありません。様々なモノがインターネットでつながり、便利になった反面、攻撃者にとっては攻撃できるポイントが広がったという見方もできます。そのため、サイバーセキュリティはエンドポイントというネットワークに接続された端末においてだけでなく、ネットワーク、サーバーなど複数の細分化された箇所で多層的に対策を講じていくのが主流となっています。

サイバーセキュリティの主要企業

サイバーセキュリティの細分化された各分野において強みを持つ主要企業として、エンドポイント対策ではソフォス(英)、シマンテック(米)、トレンドマイクロ(4704)など、ネットワーク対策ではチェック・ポイント(イスラエル)、シスコ(米)、フォーティネット(米)、ジュニパーネットワークス(米)、パロアルトネットワークス(米)など、データ漏洩防止ではマカフィー(米)、シマンテック(米)などがあります。

また、プログラムを別の領域で検査するサンドボックス分析、大規模なデータ分析によって未知の脅威からの防止ソリューションを提供する企業もあり、ファイア・アイ(米)、フォーティネット(米)、IBM(米)、トレンドマイクロ(4704)、ユニシス(米)などがあります。分析を伴うソリューションにおいては、ソフト面で人工知能(AI)を、ハード面では大規模なコンピューター施設、将来的には量子コンピューターを実戦導入することが予想され、サイバーセキュリティ事業は装置産業化しつつあるとも言えるでしょう。

ちなみに、米国にはサイバーセキュリティ関連株にまとめて投資ができるETFとして、PureFunds ISE Cyber Security ETF (HACK) やFirst Trust Nasdaq Cybersecurity ETF (CIBR)があり、パフォーマンスは概ね良好と言えます。

日本企業の展開とカギを握るのはやっぱり半導体?

日本企業ではトレンドマイクロ(4704)が世界規模で競争力を持っていますが、日本の大手ITベンダーは米国企業と業務提携し、米国企業の国内展開を支援する形態が多く見られます。その一方で、装置産業化しつつある海外の大手企業のサービスを日本国内の個人や中小企業が導入するには相当なコスト負担になることから、独自開発したサービスを展開する企業もあります。関連企業としてはデジタルアーツ(2326)、ラック(3857)、FFRI(3692)、アスジェント(4288)、ソースネクスト(4344)、セキュアヴェイル(3042)、インターネットイニシアチブ(3774)、NTT(9432)などがあります。

結局のところ、サイバーセキュリティ事業を行うには高性能なハードウェアへ投資が必要であると思われ、そのハードウェアの根幹を担うのは高性能の半導体です。半導体関連株はサイバーセキュリティの視点からも注目の分野と言えるでしょう。eワラントの対象原資産のうち、半導体関連株としてはSUMCO(3436)信越化学(4063)トリケミカル研究所(4369)ディスコ(6146)ルネサスエレクトロニクス(6723)アルバック(6728)日本マイクロニクス(6871)などがあります。

(eワラント証券 投資情報室)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。