トランプはレーガンと似ている?1980年代のアメリカに学ぶ今後の見通し

“トランプはレーガンの再来だ”

という内容のニュースや記事は米国大統領選の最中に様々なメディアが取り上げていたので、皆さんも一度はご覧になったことがあるのではないでしょうか?トランプ氏もレーガン氏も共和党員であること、二人ともアメリカ国政の経験が無いこと(レーガン氏はカリフォルニア州知事を経験しましたが)、二人とも「強いアメリカ」を合言葉に選挙戦を戦ったことなどが似ていると言われる一因となっているようですが、両者の政策に関する考え方も共通点が多いと指摘されているようです。

レーガン元大統領といえば米ソ冷戦終結時の大統領として有名ですが、内政においても“レーガノミクス”とも呼ばれる自由主義的な経済政策をとり、米国経済・世界経済に大きなインパクトを与えました。

今回はトランプ次期大統領の主張する経済政策とレーガン大統領在任中に行われた経済政策を比較することで、トランプ大統領就任以降の株式市場で発生しうるシナリオをレーガン元大統領在任当時の株式市場から検討してみました。eワラントであれば上昇局面だけでなく、下落局面においても利益の獲得を狙うことができます。この機会に是非eワラントのお取引をご検討ください!

両者の政策比較

下表は大統領選前後でトランプ次期大統領が明らかにした経済政策とレーガン大統領在任時に行われた経済政策の概要を比較したものです。レーガノミクスの中心政策は①大型減税、②社会保障費の削減と軍事費の拡大、③規制緩和による投資の拡大、④金融政策によるインフレ率の低下を大きな柱にしていました。このうち②社会保障費の削減に関しては、政治的障害もあり十分な削減はできず、財政支出は拡大してしまいました。この財政支出の拡大と大型減税は大きな財政赤字と累積債務の増加を招きました。

トランプ レーガン
税制改革 法人税 法人税率引き下げ(35%→15%)
本国還流の現金に対して課税率の引き下げ(35%→10%)
減価償却期間の短縮(実質的に法人税引き下げ)
所得税 所得税率の引き下げ(最高税率39.6%→25%)
所得税適用区分の簡素化(7段階→3段階)
中間層への減税
育児費用の控除税額拡大
相続税廃止
所得税率の引き下げ(3年間10%ずつ引き下げ)
その他 繰越利子控除廃止
抜本的な税正改革実施
財政支出 オバマケアの撤廃
インフラ(道路、橋、空港等)投資を拡大(10年で一兆ドル)
福祉予算の削減
国防費の増額
規制緩和 ドッド・フランク法(ボルカー・ルールを含む)の撤廃 金利自由化、預金の許可等銀行業務拡大
国産原油価格の統制解除
賃金・物価安定委員会ガイドライン廃止
金融政策 金融緩和を志向? マネーサプライの抑制

一方、トランプ氏もA)大型減税、B)オバマケア撤廃による社会保障費削減とインフラ支出の拡大、C)ドッド・フランク法の撤廃などを政権公約として掲げています。軍事費も広い意味ではインフラ投資と捉えることができますし、銀行の高リスク取引を規制するドッド・フランク法が撤廃されれば大手銀行による投資は活発になるかもしれません。また、選挙期間中は完全撤廃を主張していたオバマケアについても一部存続を認めるような論調に変わってきたことまで含めて、レーガンの①~③の政策に類似すると言えるかもしれません。

一方、金融政策に関するトランプ氏の考え方については今のところはっきりしていませんが、選挙期間中には自身を低金利主義者と呼んでいます。ただし、この部分に関しては、レーガン大統領が就任した当初は10%を越えるインフレの真っ只中にあったのに対し、2016年は上昇基調にありますが1%前後で推移していることを考えると単純に比較することはできないでしょう。

レーガノミクスに見る今後のシナリオ

下図はレーガン大統領在任中のダウ・ジョーンズ平均株価の推移です。70年代から続くスタグフレーションで低迷していた米国株式は、レーガノミクスよって上昇を始め、ブラックマンデーを迎えて急落しました。
20161207-1
(1)米国経済の回復基調が続くと考えるなら
レーガン政権に類似した大型減税と財政支出による景気刺激策が有効に機能すれば、米国経済は更なる回復に向かう可能性があります。米国株式は既に史上最高値圏内にありますが、さらなる高値を追う展開が続くかもしれません。ダウのコールや日経平均のプラス5倍トラッカーで中期的に資産形成を狙うのも手かもしれません。
しかし、レーガン政権下で最大9.7%あった米国の失業率は、11月時点で4.6%と低水準となっています。そのうえ、トランプ氏は米国内の移民に対して強硬な態度を示しており、十分な労働力を確保できない可能性もあり、これらの施策がどれだけ有効に機能するかは疑問の余地があります。

(2)米国財政不安が高まると考えるなら
レーガン政権下の大型減税、歳出増加は大幅な財政赤字を招きました。トランプ氏の主張する同様の施策の中でも財源をどこに求めるかは明らかになっていませんが、国債発行に財源を求めるようであれば、同様に巨額の財政赤字を招く可能性があります。
米国の財政赤字の増大は、米国債金利の上昇→ドル高要因になる可能性があります。
また、トランプ氏は以前に、景気が悪化すれば米国債の再交渉もありうる、と発言しています。万が一、再交渉=デフォルトが行われるようなことがあれば、大幅な米ドル安、ブラックマンデー以上の株価の暴落が発生するかもしれません。
中期的には米ドルのコール、クラッシュの兆候が見られたら米ドルのプット、日経平均のプットなどの使い分けが重要になるかもしれません。

(eワラント証券 投資情報室次長 多田 幸大)
※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。

最新の更新を
プッシュ通知で購読しよう