トランプ大統領の言った「8月」が来る

先週の木曜日(7/18)、日経平均が約423円下落し、狼狽売りも加わったことから売買代金は増加したが、それまで11営業日に亘り、東証1部の売買代金は2兆円を下回った。

外国人投資家の日本株現物に対する動意の小ささが、この売買代金に表れていると指摘する市場関係者が多かったが、この状況は米国においても同じことで、今月に入ってから先週金曜日までの米国NYSE(ニューヨーク証券取引所)の14営業日の平均売買高は691百万株と、7億株を下回る極めて低い水準で推移している。

また、「動意が小さい」ことが売買代金以外で示されているのが、市場のボラティリティに関する指標であり、米国のVIX(恐怖指数)は、今月の平均値が13.34と、6月の平均値15.84、5月の16.72から大きく低下し、4月の12.95に近い水準にまで下落している。

さらに極端な低下を示したのが、日本市場のVI(日経平均ボラティリティインデックス)であり、7/12(金曜日)には、13.12と、リーマンショックのあった2008年以降で、一昨年8/8に記録した12.88に次ぐ2番目に低い数値を記録し、現在に至るまでその水準は大きく上昇していない。

この、米国VIX(恐怖指数)と日本VI(日経平均ボラティリティインデックス)の状況を、以前紹介した、オリジナルな可視化グラフで見てみることとする。

上のグラフは米国VIX(恐怖指数)を加工したものだが、算式は下に記載している。この青線が下にあるときは、市場が非常に“恐怖”を感じ、オレンジ線で示した株式指数(ダウ)がリスクオフの動きによって大きく下落したことが示されているが、今回、5/5のトランプ・ツイッター(中国に対する、それまで猶予していた製品群に対する関税引き上げの発表)で青線が下落した後に上昇(恐怖が薄れていく状態)し、直近、天井を打ったことが見て取れる。

これは、同じ算式で日本のVI(日経平均ボラティリティインデックス)を可視化したものだが、ほぼ同じ状況であることがお分かり頂けると思う。

つまり、これから市場のボラティリティは上昇する傾向にあると可視化指数は考えているようだ。

この2つのグラフであるが、私はこれを、基準値を下回る水準から反転した場合の「買いサイン」として用いているが、逆の場合に「売りサイン」としては用いていない。

それは、「日柄期間」が「日柄調整(値幅の調整という意)」に必ずしもなるわけではなく、次の上昇のための単なる“助走期間”の「日柄」となることがあるという理由による。

「低ボラティリティ+低出来高」がその後の指数下落につながらなかった時期としては、上記の一昨年8月が、まさしくそれに該当するが、当時は、「ゴルディロックス(適温相場)」に「夏枯れ相場」が加わったもので、株式市場には、好調な企業収益、同じく好調なマクロ指標、金利も上昇(債券を持って利回り上昇により評価損を受けるくらいなら、好調な株式に投資する)といった多くの支援材料があったが、現在は様相が違う。

債券との相対評価で株式を買っていた機関投資家は日米のREIT市場にその活躍の場を移してしまい、現在の支援材料は、危険な匂いが立ちこめるとこれを消してくれる「米国の金利低下=金融相場の継続」という“消臭剤”くらいしか見当たらない。(米中協議の劇的な解決がなければ)

参院選も終わり、もうじきトランプ大統領が国賓で訪日した際にもらした「8月」が来る。

有言実行の男トランプ大統領が選挙前の公約で唯一、手をつけていないのが日米貿易に関することであり、再選に向けて、どのような内容が飛んでくるのかが懸念される。

最後に、日経平均の5日、25日、75日移動平均乖離率の合計値の5日移動平均グラフを載せる。このオレンジ線は、これまで、指数のトレンドをやや大げさに、つまり、分かり易く示してきたが、これについても天井を打ったタイミングであることがお分かり頂けると思う。

やはり、「夏枯れ=低調なボリュームながら堅調な相場」を期待するタイミングではないようだ。


(スプリングキャピタル株式会社 代表取締役社長 チーフ・アナリスト 井上 哲男)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。