バイデン政権の政策

米国では長かった「大統領選挙」が終わり、ようやくバイデン新大統領が1月20日に就任し新政権が発足します。それに先立って14日に1.9兆ドル(約200兆円)規模の新たな新型コロナウイルス対策案が発表されました。市場では既におおむね織り込んでいたようで当日は歓迎する動きはありませんでしたが、従前考えていたより大きな額でこれが実行されれば経済の下支えになってくれることは確かでしょう。現金給付を1人当たりさらに1,400ドル(約14万5000円)支給します。対象として不法移民や社会保障番号を持たない家族を持つ家庭も加えています。また、失業給付の特例加算も9月まで延長します。『格差』に気を配る方針が見えています。ほかに「米国救済計画」として州政府・地方政府支援にも3,500億ドルを割り当て、有給休暇取得支援、ワクチン配布への支援なども含まれています。

この経済対策も議会を通過しなければ実行できません。先日の選挙によってトリプルブルーが実現しているのでこの経済対策案が議会を通ることは簡単だと思われていますが、上院は民主党が50+副大統領の1票を持っていますが、通常は100議席中60の賛成が必要だそうです。予算関連法案に限った特例を使えば51票の単純過半数でも可決できるのですが、特例を使うには手続きが必要で時間がかかる見込みです。そこで今回は、現金給付など共和党からも賛同を得やすい策に限定して先行審議する可能性もあります。

ちなみに、この上院は通常60票得られないと議案が通らないというルールのため株式市場が懸念する増税案などは通りにくいと考えられているそうです。

バイデン氏は2月に予定する両院合同議会での演説で「インフラ投資などの経済再建策を改めて表明する」としています。株式市場としてはこちらをテーマとする可能性もあると思います。

11月に発表した経済プランでは、「電気自動車と充電ステーションの拡充」が挙げられています。環境関連、EV、新エネルギーについては既に大きく注目されていますが、息の長いテーマになる可能性もありそうです。また、「ハイテク産業投資」や「道路、橋、ビルなどを含む米国内インフラの近代化」などもプランに入っています。4年前にトランプ氏もインフラ投資をすると言っていましたが、老朽化が指摘されていた米国の橋などはどうなったのでしょう。また調べてみたいと思いますが、まだまだ直す必要があるのではないでしょうか。取り掛かれるのはコロナ終息後かもしれませんが、これも大きなお金が動きます。また、「150万戸の低中所得者向け住居の建設」を目指すとしています。米国の住宅建設はコロナで郊外に移る人の需要などもあってこのところ予想以上に好調ですが、価格が上がってしまって取得できない層も増えています。今とはまた違うタイプの需要が出そうです。

建設と環境問題も密接なつながりがあり、車が出す二酸化炭素と同じくらい家庭部門からも排出されています。「建物のエネルギー効率化に向けた劇的な投資」も案に含まれていて「建物のアップグレード、学校の近代化」も行いたい意向です。

日本でも住宅の暖房効率の悪さが指摘されるようになってきています。国土強靭化と合わせひとつのテーマとして考えることができそうです。

ともあれ、20日の就任式が無事に済んで、明るい船出をしてほしいものです。


(フリーアナウンサー/証券アナリスト かのうちあやこ)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。