ヒンデンブルグオーメンの点灯メカニズム

 ヒンデンブルグオーメンは米国市場の株価急落を予兆するシグナルです。最近では6月18日に点灯し、その後の株価下落の前兆となっていました。7月5日には点灯が消えたものの、7月18日に再び点灯しています。本稿ではヒンデンブルグオーメンについて、その点灯メカニズムについてブレイクダウンして解説します。

ヒンデンブルグオーメンとは?

 ヒンデンブルグオーメンはJim Miekkaにより考案されたとされるテクニカル指標の一種です。次の4条件を満たすと点灯となります。eワラント証券投資情報室ではヒンデンブルグオーメンを毎営業日更新して公開しています(https://www.ewarrant-sec.jp/?p=1775)。なお、この4条件についてはどの株式市場を用いるか、判定のしきい値にどの値を用いるかによってシグナル点灯の有無は異なりますが、eワラント証券では株式投資に対する総合的な有意性から独自に定義しています。

 条件1:ニューヨーク証券取引所(NYSE)での52週高値更新銘柄と52週安値更新銘柄の数が共にその日の値上がり・値下がり銘柄合計数の2.2%以上
 条件2:NYSE総合指数の値が50営業日前を上回っている
 条件3:短期的な騰勢を示すマクラレンオシレーターの値がマイナス
 条件4:52週高値更新銘柄数が52週安値更新銘柄数の2倍を超えない

ヒンデンブルグオーメンをブレイクダウン!

 ヒンデンブルグオーメン点灯の各条件について、過去1年間の動きを見ていったのが図1~図4です。これを見ていくことで、どのようなときにヒンデンブルグオーメンが点灯するのか、ヒンデンブルグオーメンの点灯が何を意味しているのか理解できると思われます。

 図1は「条件1:ニューヨーク証券取引所(NYSE)での52週高値更新銘柄と52週安値更新銘柄の数が共にその日の値上がり・値下がり銘柄合計数の2.2%以上」についてです。参考としてNYダウ平均株価も載せています。図中のAは値上がり銘柄数、Dは値下がり銘柄数です。朱線と青線のどちらも2.2%以上であれば条件1を満たします。新高値銘柄数と新安値銘柄数が共に条件になっており、高値更新銘柄しかない上昇局面や安値更新銘柄しかない下落局面では条件を満たしにくいと考えられます。 図2は「条件2:NYSE総合指数の値が50営業日前を上回っている」についてです。黄色の線が1.00を超えていれば条件2を満たすことになります。50営業日の間に対象の指数が高値更新しなければ条件を満たすことはないので、株式市場が上昇トレンドにないとヒンデンブルグオーメンは点灯しないことになります。 図3は「条件3:短期的な騰勢を示すマクラレンオシレーターの値がマイナス」についてです。eワラント証券で計算しているマクラレンオシレーターは図1の毎営業日のAとDの差を求め、その差について10%トレンドと5%トレンドという2種類の移動平均を求め、その2種類の移動平均の差がマクラレンオシレーターとなります。ややこしいですが、解釈としてはマクラレンオシレーターがプラスであれば上昇トレンド、マイナスであれば下落トレンド言えます。なお、eワラント証券で公開しているヒンデンブルグオーメンは一度点灯すると、他の3つの条件が満たされていなくても条件3が満たされている限りは点灯中としています。 図4は「条件4:52週高値更新銘柄数が52週安値更新銘柄数の2倍を超えない」についてです。新高値銘柄数と新安値銘柄数の比較であり、新高値銘柄数が多ければ相場が強く、新安値銘柄数が多ければ相場が弱いということになります。条件4は新高値銘柄数が減って新安値銘柄数が増えてきたことを示すものになります。

ヒンデンブルグオーメンの特徴

 株価指数だけを見ると株式市場で起きている状況の変化に気づかないかもしれませんが、図4をみると今年に入って新高値銘柄数が減ってきていることから株式市場の勢いが弱まっていることが分かります。ヒンデンブルグオーメンは株式市場の変調のシグナルとも言えるでしょう。

 ただし、条件2にあるように50営業日の上昇トレンドにあるときに点灯するので、下落が続いていると点灯しないことになります。したがって「ヒンデンブルグオーメンが点灯していないから買い」とはならないことに注意が必要です。ヒンデンブルグオーメンは上昇トレンドにおける急落サインとして活用する一方、ヒンデンブルグオーメンだけで投資判断はせず、相場のトレンドを把握しておくことは大切なことと思われます。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

* 本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。