ヒンデンブルグオーメンが点灯!点灯のメカニズムを解説!

eワラント証券では、日々の取引にお役立ちいただける指標として3種類の指標を「本日のトレードインディケーター」として公開しています。そのうちの一つにヒンデンブルグオーメンという指標があります。ヒンデンブルグオーメンは米国株式市場のデータを基にしたテクニカル分析の1種で、米国株式市場の急落を予想するシグナルとして知られています。2020年には1月28日に点灯しており、その後の2月下旬から3月にかけての相場急変の予兆となっていたとも考えられます。

そのヒンデンブルグオーメンが3月3日に約1年ぶりに点灯となりました。その後いったんは消灯となったのですが、3月24日に再点灯となりました。本稿では、どのようにして今回ヒンデンブルグオーメンが点灯するに至ったのか、そのメカニズムについて解説します。


ヒンデンブルグオーメンとは?

ヒンデンブルグオーメンは米国の物理数学者ジム・ミーカ(Jim Miekka)により考案されたと言われているテクニカル指標の一種で、米国株式市場のデータに基づいて点灯が判断されます。

具体的には、同日に次の4条件を満たすと点灯となります。なお、この4条件についてはどの株式市場を用いるか、判定のしきい値にどの値を用いるかによってシグナル点灯の有無は異なりますが、eワラント証券では株式投資に対する総合的な有意性から独自に定義しています。

    • 条件1:ニューヨーク証券取引所(NYSE)での52週高値更新銘柄と安値更新銘柄の数が共にその日の値上がり・値下がり銘柄合計数の2.2%以上
    • 条件2:NYSE総合指数の値が50営業日前を上回っている
    • 条件3:短期的な騰勢を示すマクラレンオシレーターの値がマイナス
    • 条件4:高値更新銘柄数が安値更新銘柄数の2倍を超えない

図1は2019年4月以降のヒンデンブルグオーメンの点灯開始日とNYダウ平均株価の推移です。前述のように昨年の株価急落直前の1月下旬に点灯していたほか、2019年5月や同年8月の株価下落の前にもヒンデンブルグオーメンが点灯していたことがわかります。一方、直近の3月3日の点灯後は、翌4日にやや大きな下落はあったものの、その後に株価は上昇に転じています。



ヒンデンブルグオーメンのメカニズム

ヒンデンブルグオーメン点灯の各条件について、過去2年間の動きを見ていったのが図2~図5です。これを見ていくことで、どのようなときにヒンデンブルグオーメンが点灯するのか、ヒンデンブルグオーメンの点灯が何を意味しているのか理解できると思われます。

図2は「条件1:ニューヨーク証券取引所(NYSE)での高値更新銘柄と安値更新銘柄の数が共にその日の値上がり・値下がり銘柄合計数の2.2%以上」についてです。ポイントは新高値銘柄数と新安値銘柄数が共に条件になっていることです。高値更新銘柄ばかりの総強気の局面や安値更新銘柄ばかりの総弱気の局面ではなく、強弱入り混じった相場の転換点で条件を満たすものと考えられます。昨年のコロナショック時につけた安値を更新する銘柄がなかなか出てこなかったので、直近1年は条件1を達成する場面はほとんどありませんでした。ヒンデンブルグオーメンが1年間点灯しなかった大きな要因となっています。

図3は「条件2:NYSE総合指数の値が50営業日前を上回っている」についてです。終値で50営業日と比較して1.00を超えていれば条件2を満たすことになります。株式市場が高値圏にないとヒンデンブルグオーメンは点灯しないことになります。

図4は「条件3:短期的な騰勢を示すマクラレンオシレーターの値がマイナス」についてです。マクラレンオシレーターとは値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の差を求め、その差についての短期・中期の移動平均に生じる差のことです。やや複雑ですが、解釈としてマクラレンオシレーターがプラスであれば上昇トレンド、マイナスであれば下落トレンドと言えます。なお、eワラント証券で公開しているヒンデンブルグオーメンは一度点灯すると、条件3が満たされている限り、他の3つの条件が満たされていなくても継続点灯中としています。

図5は「条件4:高値更新銘柄数が安値更新銘柄数の2倍を超えない」についてです。新高値銘柄数と新安値銘柄数の比較であり、新高値銘柄数が多ければ相場が強く、新安値銘柄数が多ければ相場が弱いということになります。条件4は新高値銘柄数が減って新安値銘柄数が増えてきたことを示すものになります。

以上の4条件が同日に発生するとンデンブルグオーメンが点灯となります。おどろおどろしい名前ですが、決してオカルトの類ではありません。わかりやすく言い換えるとするならば、相場の方向感に高値更新銘柄数と安値更新銘柄数から相場の強弱感を加えたものです。株価指数だけを見るとわかりづらい相場の微妙な変化に気づかせてくれる材料とも言えるでしょう。

そのヒンデンブルグオーメンが3月3日に点灯後、24日に再点灯しています。昨年3月のコロナショックでの急落以降、総強気で上昇を続けてきた米株式市場ですが、図2・図5を見ると新安値銘柄も増えてきており、強弱が入り混じった相場展開となってきています。ヒンデンブルグオーメンは、この強弱感の変化が今後の相場展開にもたらす影響を教えてくれているのかもしれません。


(eワラント証券 多田 幸大)

* 本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。