FinTechと法律①仮想通貨(3)ビットコインに投資するファンド

ビットコインが一般的になってきたとはいえ、一般の個人にとっては依然としてビットコインに投資を行うのはハードルが高いと思われます。そこで、ビットコインを投資対象としてとらえた場合には、次のステップとしては、ビットコインに投資するファンドを組成することでしょう。最もシンプルな仕組みとしては、ビットコインに直接投資するファンドを組成し、ファンドの価格をビットコインに連動させるというものであり、投資家にとっては、こうしたファンドを購入することでビットコインに直接投資するのと同様の経済効果を得ることできるようになります。

さらに次のステップとしては、そうしたファンドを取引所に上場することです。ファンドが上場されれば、投資家は、株式を取引所で売買するのと同様に取引所でファンドを売買でき、これによりビットコインを売買するのと同じ経済効果を得ることができるようになります。ここまでくれば、ビットコインへの投資も相当ハードルが下がることになります。

これと似たような話として、金や原油などの商品(コモデティ)があります。以前は個人投資家が金や原油に投資するには先物取引くらいしか選択肢がありませんでしたが、現在では日本でも金や原油などの商品の価格と連動する投資信託やETF(上場投資信託)が多数存在します。したがって、今では、こうした金融商品を購入することで、こうした商品に投資するのと同様の効果を得ることが簡単にできるようになりました。

さて、現状はどうでしょうか。

米国においては、ビットコインに投資する非上場のファンドがすでに存在しており、一定の認知度があるようです。もっとも、米国においても、現時点においては、いまだ取引所に上場されたビットコインのファンド(いわゆるビットコインETF)はありません。報道によると、ビットコインETFを組成する動きがある一方で、米国証券取引委員会(SEC)がそのようなETFに対して慎重な姿勢ということのようです。

他方、日本においては、ビットコインに投資する投資信託やETFは存在しません。法律上も、投資信託及び投資法人に関する法律において、日本の投資信託が投資できる資産は有価証券、不動産、金などの一定の商品に限られているため、日本の投資信託はビットコインに直接投資することはできません。したがって、現在の法律では、上記で説明した「最もシンプルな仕組み」を採用したビットコインに直接投資する投資信託を組成することはできません。ただし、ファンド・オブ・ファンズの形式等を用いれば、現在の法律を前提としても、ビットコインの価値と連動する投資信託を組成することは不可能ではないと考えられます。

ビットコインの投資対象としての側面を考えた場合には、ビットコインの「金融商品化」の流れはごく自然なことであり、今後の動きが注目されます。

(アンダーソン・毛利・友常法律事務所 パートナー 弁護士 樋口 航)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の所属する組織およびeワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。