今話題のビットコインレバレッジトラッカーとは?ブルベア型との違いって何?徹底解説です!

eワラント証券では、2月15日より、「ビットコインレバレッジトラッカー」(「ビットコイン先物リンク債プラス5倍トラッカー」および「ビットコイン先物リンク債マイナス3倍トラッカー」の総称)という商品を販売しております。
暗号資産(仮想通貨)を対象とした個人投資家向け証券化商品としては国内初の商品となります。(eワラント証券調べ)

既にeワラントをご利用いただいている方々にとっては、レバレッジトラッカーは既になじみ深い商品かもしれませんが、これを機に初めて口座開設される方々は、イマイチ分かりづらい商品かもしれませんので、今日はそちらを解説したいと思います。


ブルベアファンドとは何が違うの?

レバレッジトラッカーとは何?ということですが、まず言葉を分解してみましょう。
言葉の前後で分けると、「レバレッジ+トラッカー」になります。
レバレッジは、皆さんも良くご存じかと思います。
聞き馴染みがないのが、トラッカーです。トラッカーとは、英語でTrackerと表記し、Track(追跡する)という言葉から来ています。つまり、レバレッジトラッカーとは「ある資産にレバレッジをかけた状態で、連動していく商品」と訳すことが出来ます。

ちょっと待てよ?
それって投資信託とかで良く聞く「ブルベア型投信(ETF)」と同じってこと?

そうなんです。発想は全く同じです。ある商品にレバレッジをかけながら連動していく商品を作りたい、という発想から生まれたものになります。

しかし両者には決定的な違いがあります。
ブルベア型投信は、原資産の「変動率」にレバレッジをかけるのに対して、レバレッジトラッカーは原資産の「変動幅」にレバレッジをかけているのです。

では、なぜレバレッジトラッカーは、敢えてこのような仕組みにしたのでしょうか?

言葉で説明するよりも、実際の値動きで説明したほうが分かりやすいので、図で説明させていただきます。

下図をご覧ください。
これは、2018年1月~2021年1月までのビットコインの値動きと、仮想のビットコインブル投信【×2倍】(実際には、このような投信は現在のところ存在しませんので仮想とさせていただいております。)の値動きを表したものになります。(※信託報酬などの一切の手数料は無視しております。)

如何でしょうか?

ブルベア型投信のカラクリを既にご存じの方は、特に違和感なくご覧になっているかと思いますが、そうでない方は「このグラフおかしくないか?」と思っているかもしれません。

繰り返しになりますが、こちらのグラフは信託報酬などの手数料は一切考慮しておりません。
従って、時間が経過することによって資産価値が目減りしていくことはありません。
しかし実際は、どうでしょう?
ビットコインの価格が18年1月の水準より約2倍に上昇しているにも関わらず、ブル型投信は当初の水準以下に下落しております。
本来であれば、原資産が当初の2倍になったのですから、4倍の価格になっていて然るべきでしょう。

何故このようなことが起きてしまうのか?
それは、変動率にレバレッジをかけているからなのです。
原資産の変動率の〇倍に価格が動いていくためには、原資産が上昇した日には、さらに保有資産を買い増しし、下落した場合には、資産を売却するという行為が必要になります。(※これについて詳しく仕組みを解説した記事として、「ブルベアファンドの脅威とは?大きく変動した日は、大引けは順張りで!?」がありますので、ご参考にしてください。)

従って、ブル型ファンドを運用するファンドマネージャーは、毎日順張り方向にリバランスを行っていることになります。
それゆえに、相場が上昇・下落を繰り返すたびに、そのリバランス行為が損切行為となってしまい、資産価格が目減りしていくことになるのです。

私自身、レバレッジトラッカーを当時開発する際に、マーケティング担当から「吉野さん、eワラントのように時間的価値の減少がなくて、且つブルベア型のように行ってこい相場に弱いという弱点を補った商品を作れないか?原資産が元の水準に戻れば、それに連動して価格がきちんと戻る商品が欲しい」と相談され、“率”ではなく“値幅”にレバレッジをかけていくという仕組みを提案した次第なのです。

余談にはなりますが、そのマーケティング担当者との間では、レバレッジトラッカーのことを「戻るんです」(“写ルンです”を文字って)と愛称で呼んでいたぐらいです(笑)。

話は脱線しましたが、以上説明してきましたように、ブルベア型は仕組み上、時間経過に弱いということを覚えておいてください。


レバレッジトラッカーは?

では、レバレッジトラッカーの値動きはどうでしょうか?
同じく2018年1月~2021年1月におけるビットコインの値動きと、仮想のレバレッジトラッカー【プラス2倍】の値動きをグラフにしたものが下図になります。

如何でしょうか?

しっかり、原資産の値動きを追跡するように動いていますし、時間経過に伴う価格の目減りも見受けられません。
見事にブルベア型ファンドの弱点を克服した商品設計になっているかと思います。


両者の弱点は?

それでは、レバレッジトラッカーは完璧な商品か?というと、そうでもありません。
先程のグラフを見ていただくとお分かりかと思いますが、価格がマイナスになっている部分があるかと思います。
これはあくまでも仮想上の商品ですので、計算式で計算されるがままをグラフにしたので、このように表示されていますが、実際には、マイナス価格になる前に、ソフトリミット(買取値段が2円になった際に、新規の販売を停止し、買取のみになる。)、ハードリミット(買取値段が1円を下回ると、強制決済となり、事実上のロスカットとなる。)があります。
従って、今回はプラス2倍で検証しましたが、実際に販売されているプラス5倍のレバレッジトラッカーですと、相場が下落した際には、そのリミットにタッチする確率がより高くなり、自動ロスカットになるリスクもあるということになります。

但し、これは見方を変えれば、ズルズルと損切出来ずにポジションを引っ張ることのないように、投資家を保護しているとも考えられるので、一概に欠点とも言えないでしょう。また当然ですが、追証が発生するリスクもありません。

他方、ブルベア型ファンドの場合はどうでしょうか?
2倍のブル型では、幸いマイナス価格にならずに済んでいます。これは、相場が下落するたびに日々リバランスによりポジションを減らしているからになります。
しかし、その反面、相場が戻った場合には、ポジションを減らしてしまっているがゆえに、思ったように価格が戻っていかないというポイントが欠点となります。

どちらが好みかという問題にもなりますが、実はビットコインを対象としたブルベア型投信は現在国内には存在しません。
これには深い事情がありまして…
ファンドと言えば、日本では一般的には投資信託を指しますが、投資信託はルール上、日々公表される基準価格がマイナスになるわけにはいきません。そこで例えば、原資産が値幅制限いっぱいに変動したとしても、その変動率×レバレッジが-100%を超えない範囲内に収まるように、余裕を持ったレバレッジを当初から設定して販売しています。
そのため、米国CMEでビットコイン先物が上場し、値幅制限が±20%に設定されているとはいえ、ビットコイン(またはビットコイン先物)をブルベア型投信の原資産とするには、未だリスクが高すぎると判断されています。

一方でレバレッジトラッカーを使えば、ロスカットのリスクはあるとはいえ、プラス5倍・マイナス3倍までレバレッジをかけることが出来ます。

その他、今回は議論の対象にはしませんでしたが、税制面でも雑所得による総合課税扱いではなく、申告分離課税扱いになるなど、税率面でのメリットもあります(*1)ので、ぜひとも利用していただければと思います。


(eワラント証券 吉野 真太郎)

(*1) 「ビットコインレバレッジトラッカー」は金商法上の有価証券です。そのため暗号資産(仮想通貨)現物や、暗号資産(仮想通貨)デリバティブとは税制が異なる可能性がございます。詳しくはお近くの税務署にご相談ください。

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。