マネタリーベースと長期金利から株価が予測できるって本当!?今後の不安要素も徹底解説!

3/9に、「株式市場に黄色信号!インフレ圧力の結果、世界のお金が減り始めた!?」と題して、株式市場と日米欧の中央銀行が管理するマネタリーベースの総額との間に強い相関関係が存在するという内容の記事を投稿させていただきました。今後米国のFRBを発端とした金融引き締めが予想される中、株式市場に逆風が吹くと想定され、どの程度下落するかを回帰分析によって、シミュレーションしてみました。

しかし足元ではマネタリーベースは未だ減り始めておらず、それに先立って行われている米国の利上げの方が、市場の関心度として高まっているように思えます。そこで今回、S&P500とマネタリーベースの関係性に米長期金利という要因を加えた上で、改めて調べてみたいと思います。

図1をご覧ください。
こちらは、2018年1月末からの米国のマネタリーベース残高、S&P500、米長期金利の月次データをグラフにしたものになります。

前回の記事でも言及しましたが、株価とマネタリーベースは正の相関を持っています。その関係性が図1からも改めて分かるかと思います。
今回は、それに加えて長期金利という要因を考えてみたいと思います。
教科書的には株価と長期金利との間にも正の相関があると言われています。それはリスクオン相場に強い株式市場とリスクオフ相場に強い債券市場との間には資金がお互いに行ったり来たりする関係があるため、一般的に株が上昇すれば債券は売られ(金利が上昇)、株が下落すれば債券が買われ(金利が下落)するためです。
そしてその関係性も図1から見て取れるかと思います。


重回帰分析をやってみると?

それでは、マネタリーベースと長期金利という2つの変数を使って、S&P500の値を予測する回帰分析をやってみましょう。

と回帰式が計算されました。

実際のデータとの当てはまり具合を表す決定係数は0.99、各変数がS&P500に与える影響の大きさを表すT値は、マネタリーベースが38.45、長期金利が4.37となっており、両変数とも統計学的に有意な説明変数だと言っても良く、十分に説明力の高い分析結果となっています。

両変数のS&P500との関係性をグラフにしたのが下の図2、図3、予測値からの実測値の乖離率の推移を表したものが図4になります。

図4から現在のS&P500の値は、約13%売られ過ぎの水準にあると言えるでしょう。
しかしこれはあくまでも現在のマネタリーベース、長期金利の値を前提にした話であり、両変数が変化すれば当然予測値も変化します。
そこで各変数が上下に変動した場合のS&P500の予測値を下の表1、表2にまとめました。

現在のマネタリーベースは約6.1兆ドル、長期金利は3.05%ですから、表2を見ると分かるように約13%の上昇が見込める水準となっています。


今後はどうなる?

しかし、油断は禁物です。
まず、マネタリーベースについてですが、表中では少なからず更に増えたケースの場合も一応想定してシミュレーションしていますが、FRBのパウエル議長の発言等を考えると、再びコロナショック級の何かが起こらない限り、再び増えることは九分九厘ないと言っても良いでしょう。従って、この部分でまずS&P500にとってはマイナス要因になります。

次に長期金利についてですが、下の図5をご覧ください。
これは5/9時点での米国債市場におけるイールドカーブを表したものになりますが、現在は正常な状態を意味する順イールドになっているのが分かるかと思います。

従って今のところは問題ないのですが、景気が後退局面入りするタイミングの特徴として、逆イールドになることが知られています。つまり中央銀行は物価上昇を抑えるために、断続的に政策金利を引き上げることによって短期金利が上昇しますが、ある時点を境に、長期金利が短期金利の上昇に付いてこられなくなるタイミングが来るのです。
それが一体いつのタイミングなのか?
それは誰も分かりませんが、下の図6を見ると、足元の長期金利が3%台というのは、過去10年間で見ても十分高い水準とも言えます。となると、今の長期金利の水準が実はピークであり、FRBが利上げをしているため直ぐには下落しないにせよ、長い目線で徐々に下がってくる可能性が高いかもしれません。


eワラントを活用しよう!

以上、述べてきましたように、現在の米株価は割安とはいえ、今後の不安要素がたくさんあるような状況です。従って、今後は株をバイアンドホールドするのではなく、「割安なところを買って、ちょっと戻ったら売却して」など、機動的な売買戦略が必要となってくるでしょう。そこで役立ってくるのがeワラントになります。利確や損切りというのは中々難しいものです。そこでeワラントプットを買っていただければ、既存ポジションを閉じることなく、リスクヘッジできます。しかも万一上昇してしまった場合でも、既存ポジションと併せて利益を伸ばすこともできます(プロテクティブプット戦略)。 手軽なリスクヘッジ商品としてのeワラントをぜひご活用ください。


(カイカ証券 吉野 真太郎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、カイカ証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。