上昇し続けてきた金相場の転換点到来か!?注目すべき米国実質金利との関係性とは!?

今年1月25日~26日にかけて米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、1)インフレ率が目標の2%を大きく上回っている、2)労働市場のデータも良好である、の2点から次回の3月の会合でフェデラルファンド金利(FFレート)の誘導目標を引き上げることが示唆されました。
また、それに併せて量的緩和の縮小(テーパリング)も3月上旬に終了することも決定されました。
内容としては事前の市場予想の想定内だったということもあり、市場の反応は比較的冷静だったと言えます。

しかし足元の原油高の影響もあり、直ぐには過度なインフレが収まる可能性は低く、暫く利上げトレンドが続く可能性が高いと言えます。
そのためか、米5年債利回り、10年債利回りも2019年以来の2%前後まで上昇し、米国のイールドカーブ(利回り曲線)が全体的に上昇しています。

「世界の基軸通貨である米ドルに金利が付き始めた!」となると、米ドルへ投資したいという雰囲気にもなります。

その反面、厳しい環境にさらされるのが安全資産の代表である金になります。

金は、世界的に景気が悪化し、どこもかしこも金利がゼロ金利であるような状況下では強いですが、一転景気が良くなり、主要国の金利が高くなり始めると、保有していても金利のつかない金は敬遠され、金利のつく主要国通貨へと資金が流れていくのが一般的な流れとなります。

それでは米国金利が上昇し始めた今、金は下落し始めているのでしょうか?


金は下がっていない?

下の図1をご覧ください。
こちらは金相場(米ドル建て)と米国の名目金利(5年,10年)の推移を2010年からの月次ベースのデータを使ってプロットしたものになります。

こちらを見る限り、2021年から金利が上昇し始めているにもかかわらず、金相場が上昇トレンドとしては一服感が出てはいますが、特段目立って下落してはいないことが読み取れるかと思います。

どうして、金利のつかない金を保有し続けるの?

ここで重要になってくるポイントとして、金は安全資産としての側面以外にも、実物資産であるためインフレヘッジの効果も望めるという点です。
従って、金利が上昇しているということは、裏を返せばインフレが起こっているとも一般的には言えますので、そのインフレ期待の方が金利の上昇を上回るようであれば、金は下落するどころかむしろ上昇することもあり得ると言えるのです。

そこで考えるべきものは、名目金利との関係性ではなく、実質金利との関係性になります。


大切なのは、実質金利!!

実質金利は、名目金利から期待インフレ率を差し引くことで求めることができます。
では、期待インフレ率とは何か?というと、幾つかの定義はありますが、一般的にはブレークイーブンインフレ率(利付国債と物価連動債の利回り差)を期待インフレ率と定義することが多いです。

では、下の図2~図3をご覧ください。
こちらは米国の名目金利と期待インフレ率、そしてそれらから計算できる実質金利の推移を、5年債/10年債をベースに2010年からの月次ベースのデータを使ってプロットしたものになります。

これらの図から分かるように、名目金利が足元では急上昇してきてはいますが、期待インフレ率も同じく急上昇しているため、実質金利としては未だそれほど上昇してはおらず、水準としては依然マイナス水準に留まっています。

そのため、一見すると金利上昇の影響で金相場は下落しそうですが、未だ下落するまでは至っておらず、依然高値圏で揉み合っているとも言えます。

■今後の展開は?

下の図4をご覧ください。
こちらは金相場(米ドル建て)と米国の実質金利(5年,10年)の推移を2010年からの月次ベースのデータを使ってプロットしたものになります。

実質金利が下落すれば金価格が上昇し、反対に実質金利が上昇すれば金価格が下落しているのが過去の動きで見て取れます。

この法則を前提にすれば、今後もし実質金利が上昇し続け、プラス圏内に突入するようであれば、金価格は2014年~2016年のような1オンスあたり1,100ドル~1,300ドル程度まで下落することがあるかもしれません。

ただし、あくまでも実質金利が上昇し続けることが前提です。
そこで今後考えるべきポイントは、FRBの金利引き上げスタンスの継続性と高い期待インフレ率の持続性になります。
前者の金利については、今年だけでも3回の利上げが予想されているため、今後も引き続き名目金利は上昇トレンドと言っても良いかもしれません。

一方、足元では高い期待インフレ率ですが、今後はコロナショックによる物不足の流れも徐々には解消されていくであろうことや、FRBが量的緩和を終了し、今後バランスシートの縮小をし始めることなども考えると、持続性には疑問が残ります。
そうなれば、実質金利としては上昇する流れになり、金価格にはマイナス要因になるでしょう。

そこでお奨めしたいのは、金リンク債を原資産としたプット型eワラントへの投資です。
狙い通り金価格が下落すれば利益を得ることができますし、もしウクライナ情勢の悪化等による政情不安で金価格が上昇してしまったとしても、掛け捨て型保険ですから、投資額以上の損失はありません。

今年は上昇し続けていた金相場の転換点になるかもしれませんので、ぜひ一度お試しください。


(カイカ証券)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、カイカ証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。