中国の対米防御策はすでにスタートしている

ペンス副大統領演説を再読すべき

昨年12月26日に「2019年の具体的な投資戦略について考えてみた」という記事を執筆し、その中で「米中摩擦は2019年に激化する公算大」との見方を示した。

ぺンス米副大統領が米シンクタンク・ハドソン研究所で行った「対中国政策に関する演説」(2018年10月4日)にアメリカの対中政策のヒントがあるとしたが、正にその通りになっている(改めて同演説の内容を一読することを勧める)。

アメリカの対中政策は経済問題にとどまらず、安全保障問題が根底にあることがわかる内容だ。米中対立は数カ月で終わるものではない、と考えられる。

トランプ大統領自身も今回の来日時に「中国は(貿易協議に)合意をしたがっているが、私たちにはその用意がない」と述べ、短期間の決着は困難との認識を示している。

中国による景気対策の端緒は自動車に

現状、投資家の注目点は米中対立によるネガティブインパクトを、どのようにいつ織り込むかに絞られていると言えよう。その前提は、中国経済は減速する、そして、日本企業もその悪影響を受ける、になっているように思う。

現時点ではまだ、講じられるであろう中国政府の「景気対策」にはあまり目が向けられていないように思われる。過去の景気減速局面で、中国政府は金融政策と財政政策の両面から景気下支え策を講じたことは記憶に新しい。

その動きは迅速だ。今回もすでに(5月6日)、中国人民銀行(中央銀行)が中小銀行を対象に預金準備率を引き下げると発表している。中国人民銀行は今回の措置が、小規模企業の資金調達コスト低下につながると指摘しており「経済全体の下支えにもつながる」と声明を出している。

さらに5月25日の日本経済新聞で「中国政府が新車販売のテコ入れとして、具体的な施策の検討に入った」との観測報道があった。その前には、中国財務部と国家税務総局が自動車取得税の実質的な引き下げに関する細則を発表している。

これまであった自動車取得税の対象となる課税価格(値引きなどを考慮しない)が廃止され、実際の販売価格をベースに自動車取得税が設定されるとのことだ。

自動車購入者の税負担が減ることで、自動車需要を下支えする意図があることは言うまでもない。今後も中国では国内向け景気下支え策が講じられると考えられる。そして、その景気下支え策は、「対米報復」ではなく「対米防衛策(国内向け)」の色彩が濃いものとなることが想定される。

端緒となっている「自動車」に関する銘柄には、今考えているほどの悪影響がないストーリーも頭に置いておく必要ありそうだ。以下、“自動車関連銘柄”の具体的な例を挙げておきたい。この局面で売り込まれた銘柄が多い。

ホンダ(7267)

トヨタ自動車(7203)

アイシン精機(7259)

武蔵精密工業(7220)

小糸製作所(7276) 


(株式ジャーナリスト 天海源一郎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。