主要銘柄の動きは“懸念の低下”を示している

中国政府の景気下支え策が効いてきた

 すでに2018年度10-12月(3Q)期決算と通期見通しの修正が出そろっている。ある国内系シンクタンクの集計では、上場企業の経常利益の合算値は前年度比4%増、従来の会社予想に対し77%の進捗率とのことだ。

製造業は2%減益とさえなかったが、米中貿易摩擦への警戒感が高まった中で、2Q 決算時にもすでに見られていた設備投資関連(FA、半導体製造装置)や、スマホ向け電子部品、素材などの減速感がさらに増したものだろう。

象徴的だったのはやはり1月17日に発表されたモーター大手「日本電産(6594)」の通期大幅下方修正だ。

売上高1兆4,500億円、営業利益1,450億円と、これまでの会社予想からそれぞれ1,500億円、500億円と大幅に引き下げたもので、同社の永守会長からは

「(2018年)11月、12月にガタンと世界的にすべてのセグメントで大きな変化が起きた」

「月単位でこんなに落ちたのはおそらく46年間経営して初めて」

と危機的なコメントが聞かれた。

ただ、同社の株価は翌1月18日に11,405円の安値をつけたあと下げ渋り、そこから急速に出直っている(2月22日終値 13,635円)。

昨年秋には17,000円処に位置しており、その水準には遠く及ばないものの、今回の下方修正のタイミングで投資家が「業績底入れでは?」と判断していると見えなくもない。

「住友金属鉱山(5713)」をはじめとする非鉄金属株にも反発の動きとなるものが多くみられる。これら企業の株価は銅価格をはじめとする商品市況に左右されるが、銅価格は2019年に入り反転上昇している。時を同じくして原油価格も反転しており、「国際石油開発帝石(1605)」の株価底打ちに貢献している。

商品市況反発の要因は中国企業の景況感の持ち直しや中国の成長率の下げ止まりを予見したものと見るのが適当だろう。中国政府は金融緩和や減税、インフラ投資の拡大など景気下支え策を講じてきたが、その成果が出始めているのかもしれない。

株価への不満を自社株買いで示す経営陣が増える可能性

もうひとつ忘れてはいけないことがある。それは「自社株買い」の動きだ。

かねてより自社株買いが増加していることはわかっていたものの、株価への明確なインパクトには欠けていた。

しかし、2月6日の決算発表と同時に「ソフトバンクグループ(9984)」が6,000億円を上限とする自社株買いを発表し、翌7日には値幅制限いっぱいのストップ高まで買い進まれ抜群のインパクトを見せた。

さらに2月8日寄り付き前に突如「ソニー(6758)」が1,000億円を上限とする自社株買いを発表した。今回のソニーの自社株買いは規模こそ大きくはないものの、機動的な動きが好感され、その後の同社株は堅調に推移している。充分なインパクトがあったと評価できる。

この2社の動きは経営陣が「事業価値と株価の乖離に対する不満」を示したものとされている。日本企業には、他社が先鞭をつけたポジティブな動きに追随するという慣例があると思われるため、その意味では今後、事業価値と株価の乖離を自社株買いで埋めようとする動きが強まる可能性が高いと見る。

日本電産(6594・東証1部)

住友金属鉱山(5713・東証1部)

国際石油開発帝石(1605・東証1部)

ソフトバンクグループ(9984・東証1部)

ソニー(6758・東証1部)


(株式ジャーナリスト 天海源一郎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。