今月末はコバンザメ戦略だ!?MSCI指数の銘柄入れ替えイベントで検証してみた!

皆さん、コバンザメという魚をご存じでしょうか?
大型のサメやクジラなどに吸い付き、餌のおこぼれを貰って生活をしている魚です。

そして株式市場にもコバンザメという名前の付いた戦略があるのをご存じでしょうか?
相場を動かすようなビッグプレイヤーと同じ方向にポジションを組んで、利益を獲得する戦略のことをコバンザメの生き方になぞらえて、コバンザメ戦略といった言い方をします。

では、ビッグプレイヤーとは例えばどういう主体のことを言うのでしょうか?
ここで大事なのは、ビッグプレイヤーが、「いつ、何を、どれだけ」売買するのかを事前に入手できなければ意味がないということです。
違法に入手すれば、インサイダー取引になります。
しかし、合法的にそれらの情報を入手できる代表例として、“銘柄入れ替えイベント戦略”が挙げられます。
株価指数は定期的に銘柄入れ替えが行われるのが一般的です。また、“実行されるタイミング”、“入れ替え銘柄”、“売買される数量(指数の計算式に基づいて計算すれば)”の情報をすべて事前に入手できるため、昔からコバンザメ戦略の代表的なイベントとなっています。

今回は、MSCI指数に関してのイベント戦略を分析・検証してみました。


MSCI指数とは?

モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社が算出・公表している指数で、世界約70か国の株式市場をカバーしており、多くの機関投資家や投資信託などのベンチマークとして採用されています。
定期的な銘柄入れ替えは、毎年5月と11月の2回行われ、該当月の最終営業日の終値を以って、入れ替えがなされることになっています。


検証方法

以下の方法で検証しました。

  • MSCI社から公式発表された日の終値を100として各銘柄の株価を計算。
  • 新規採用銘柄・除外銘柄グループで、それぞれ同一ウェイトのバスケットを組成し、新規採用銘柄バスケットをロング、除外銘柄バスケットをショートする戦略でパフォーマンスを測定する。
  • 銘柄入れ替え日をTとして、“T-13”~“T+7”の期間でパフォーマンスを検証する。
  • 今回は、2018年5月・2018年11月・2019年5月・2019年11月・2020年5月(2020年5月29日が入れ替え予定日になっているため、途中までしかデータはありません。)の合計5回にわたり検証。


検証結果

下図をご覧ください。
直近5回のケースでの、ロング&ショート戦略のパフォーマンス(%)を表にしたものです。
単刀直入に言って、あまり良い成果とは言えません。
しかし、ポジションを組成するタイミング次第では、うまく利益を獲得できるかもしれません。
例えば、公表された日の翌日、つまり実際に銘柄入れ替えの情報が株価に反映される日の終値でポジションを組成して(表で青色にハイライトされている箇所)、T時点の終値でポジションを解消すれば、2018年5月【+3.21%】・2018年11月【+3.15%】・2019年5月【-0.24%】・2019年11月【+12.22%】・2020年5月【+3.06%(今のところ)】の利益(損失)となる計算になります。※1


2019年5月だけは、若干の損失となってしまいましたが、毎回戦略を実行していればトータルすると勝てる可能性が高い戦略と言えるかもしれません。

また今回に限ってですが、既に+7.54%のパフォーマンスとなっており、銘柄入れ替えのイベント戦略としては、十分利益の乗っている水準と言えるでしょう。
従って、ここから5月29日に向かって順張りでポジションを作るよりは、T時点で新規採用銘柄バスケットをショートし、除外銘柄バスケットをロングするという、逆張りのポジションを組成してみるのも面白いかもしれませんね。

一度、試してみてください。


(eワラント証券 マーケティング部ヴァイスプレジデント 吉野 真太郎)

※1  公表日翌日、通常であれば2020年5月のように、新規採用銘柄は買われ、除外銘柄は売られるべきですが、2018年5月~2019年11月の4期では逆の動きになっています。
これは、あくまでも推測ですが、以前に比べ各証券会社から出される“入れ替え銘柄予想”に関するレポートが多くの投資家に事前に行き渡るようになったため、実際に公表されるよりも早いタイミングで投資家達はコバンザメ戦略のポジションを構築しており、それを公表日翌日に一旦手仕舞う動きがあるためと思われます。

* 本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。