今月買っている外国人は「欧州」?

昨年12月初旬以来の日経平均2万2,000円台乗せで、市場には、10連休前に明るい雰囲気が広がったが、アジア市場ではもう一つ、韓国KOSPI指数が13日連騰したことも話題となった。

しかし、日経平均、韓国KOSPIと言えば、実は世界の主要株式指数において、今年の上昇率のブービーとワーストであり、直近の上昇は相対的なパフォーマンスの水準訂正と捉えることも出来る。

それでも市場関係者のコメントには明るさが見られ、その根拠として、外国人の日本株(現金・現物)を買う動きを挙げるものが多い。

風向きが変わったのが、4月第1週に外国人が13週ぶりに日本株を買い越した際であるが、実は13週どころか、昨年の11月中旬から3月最終週までの20週において、買い越したのは1月下旬の1週だけであり、累計で4兆2,000億円程度も外国人は売り越していたのだ。

確かに、今回の買い越し金額は6,228億円と、2017年10月下旬に記録した6,704億円の買い越しに次ぐ、久々に大きなものであり、また、先週木曜日にJPX(東証)が発表した、その翌週(4月第2週)の外国人売買動向も、金額こそ減少したものの、1,214億円の買い越しとなったことから、「4月、新年度入りで外国人が買ってきた」という論調となっている。

この「4月に買う」ということを無論否定するものではない。

2月の寄稿において、日本株需給に大きな影響を与える「欧州」は、決算発表の前後にしか買わないということを述べたが、今回、2015年以降の月次売買動向を月別の累計にしてグラフを作成してみた。

これをご覧頂くと、「欧州」は、4月、5月、10月、11月という、3月決算銘柄の本決算、第2四半期決算の発表前後にしか買い越していない状況がはっきりとお分かり頂けると思う。

次回の寄稿予定日は5月20日であるが、この日は重要な指標が2つ発表される。

1つは1-3月期の日本のGDP数値であり、もう1つは、JPXが発表する、海外投資家地域別株券売買状況である。これによって、4月の売買状況が分かり、今回の買い越しが「欧州」であったのかどうかが判明するが、逆にそうでなかった場合は、残された5月、10月、11月に「欧州」が買い越してくれる可能性も低いということ覚悟しなくてはならなくなる。

しかし、今回の外国人買いの中心は、やはり「欧州」であろうと推測しているが、その根拠もやはり、海外投資家地域別株券売買状況に求められる。

先週金曜日に発表された3月動向によると、「欧州」が1兆1,124億円もの大幅な売り越しで、「アジア」も4,695億円の売り越しとなっている。「欧州」の売り越し金額は、2016年4月以降で、昨年2月に次ぐ大きなものであり、「アジア」のそれは、地域別に見て過去最大である。

この「2016年4月以降」というのが1つの鍵である。

このとき、「欧州」は3月に1兆2,355億円もの大幅な売り越しとなったが、翌4月には7,002億円買い越しているのだ。

当時は、前年8月の上海ショック後に中国におけるスマホの生産が減少し、日本の半導体輸出が減少したことから、アベノミクス相場が始まってから初めて日経平均の(計算上の)1株当たり利益(EPS)が減少した時期であり、現在の日本の景気減速が中国に起因しているというファンダメンタル的な共通点も多い。

しかし、それであれば、2016年5月以降、「欧州」がどのような売買状況を辿ったのかを見る必要があるが、5月から9月までの5カ月間で、買い越したのは7月(3,286億円)のみであり、累計で1兆3,000億円程度の売り越しとなっている。決して、4月に買ったからと言って、その動きが続いたわけではないのだ。

となると、今回の上昇は、冒頭に述べた相対的パフォーマンスと3月までに売りすぎた「欧州」のポジションという「2つの水準訂正」が要因と、現段階ではコンサバティブに考えておく必要がある。


(スプリングキャピタル株式会社 代表取締役社長 チーフ・アナリスト 井上 哲男)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。