先行優位がもたらした日経平均の上昇

10月の寄稿において、9月下旬からの世界的な株式市場の調整局面でも日経平均が下落しなかった理由を、RSI合計(RSI14日の5日移動平均値と10日移動平均値を足したもの)というオリジナルグラフを用い、ダウのこの値が日経平均よりもひと足早く底打ちしてくれたからだと述べたが、今回、2万3500円レベルで押し返されてきた日経平均がその壁を抜けることが出来たのは、その逆で、日経平均が先行する形で値の天井を取りにいったからと考えている。

これは、10月に紹介した日経平均のRSI合計グラフを、期間を昨年初からにして見易くリメイクしたものだが、今回その値(橙線)はグラフに記したように11月7日に天井をつけている。
そして、その後の日経平均(青線)の推移を赤く囲ったが、これまでであれば、RSI合計値が160%を超えるような高い水準で天井打ちを果たした後は、日経平均は過熱感から利食いに押され、下落するパターンを繰り返してきたが、そうはならずに横バイで推移していたことが分かる。

つまり、「2万3500円の壁が抜けられない」のではなく「非常に値保ちが良かった」という状態であったのだ。
それでは、この値保ちの良さは何がもたらしたかというと、それは日経平均が9月に世界の主要指数でトップのパフォーマンスとなり、10月もロシアRTSに次ぐ2位となった“先行者メリット”がもたらしたと考えている。

これは、ダウの同じくRSI合計グラフだが、日経平均の同値が天井をつけた11月7日は、日経平均に遅れたギャップを埋めるべく上昇していた過程であり、結果的に天井をつけたのは、グラフに示したように、日経平均から遅れること2週間経った11月20日のことであった。
つまり、日経平均の値保ちの良かった期間とは、このダウが一生懸命ギャップを埋めようとしていた時間帯であったと考えることができる。

そして、両グラフをご覧いただくと、RSI合計値が100%近辺で一旦の底打ちを果たしたことがお分かりいただけると思うが、このレベルは、補助線で示した80%よりもかなり高い水準であり、“中途半端な位置”での底打ちといえる。

そのことが少し不安にさせるが、両グラフにおいて緑で囲った部分は、この“中途半端な位置”での底打ち後の、これまでの指数の推移を表している。これまでは、やはり堅調に推移してくれていたことが分かる。

そのため、今回も“中途半端な位置”での底打ち後、日経平均が2万4000円を奪取できたのは、やはりこの底打ちがテクニカル的に効いたと考えている。


(スプリングキャピタル株式会社 代表取締役社長 チーフ・アナリスト 井上 哲男)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。