再浮上した2つの要因

9月の下旬から世界的に株式市場は一旦の調整局面を迎えたが、日経平均については、「日柄」という上昇できない期間は必要であるが、「値幅」という調整は行われずに、再浮上への道を辿るであろうという主旨を、テレビ、ラジオのマスコミやメールマガジンを通じて私は発信してきたが、果たしてそのようになった要因は2つあると考えている。

その1つ目は日米の「テクニカル・ギャップ」である。

これは、日経平均のRSI14日(14日間の前日比の動きをマイナスもプラス、つまり絶対値にした合計を分母にとり、分子をプラス部分のみの合計として、前日比に占める上昇の割合を計測したもの)の、単に5日移動平均値と10日移動平均値を足しただけのグラフであるが、この線(オレンジ線)が指数の動向を“大袈裟に”、そして、“的確に”示唆してきたことから、オリジナル・テクニカル分析に用いている。

これをご覧頂くと、今回、下限ゾーンである60%-80%の帯に達することなく、再度浮上していることが分かる(青囲み)が、その前の9月に天井をつけた際には、160%-180%という上限ゾーンを超える水準にまで達していた(赤囲み)。

これは、グラフの期間である2010年以降で2回目(1回目は日経平均が16連騰となり、RSI14日が100%になった一昨年秋)のことで、とても過熱感が高かったことを意味しているが、今回、下限ゾーンにまで到達することなく切り返すことができたのは、米国市場においてその底打ちがいち早く示現したことによるものである。

これは、同じく、ダウについてRSI14日の2期間移動平均値合計をとったものであるが、下限ゾーン(60%-80%)にまで到達し、底打ちを果たしている。

また、直近9月の天井打ちは上限ゾーン(160%-180%)に達することなく、日経平均よりも早いタイミングでそれは起きている。

9月の主要指数の月間騰落率(全てプラス)を列挙すると、アジア:日経平均:5.1%、上海総合:0.7%、香港ハンセン:1.4%、韓国KOSPI:4.8%、欧州:イギリスFTSE100:2.8%、ドイツDAX:4.1%、フランスCAC40:3.6%、ロシアRTS:3.1%、米国:ダウ:1.9%、S&P500:1.7%、NASDAQ:0.5%。つまり、日経平均の上昇率がトップだったのだ。

このように9月に強かった日経平均のテクニカル的な天井打ちタイミングはダウよりも遅かったものの、その後、ダウにいち早く訪れた“底打ち”に日経平均もきちんと反応したことが1つ目の要因である。

もう1つは、やはり「需給」である。

先月の寄稿において、外国人の指数先物の売り残高が高水準であること、そして、裁定売り残もかつてない水準に達していることを書いたが、今回、9月の最終週に日経平均が天井打ちを果たし下落したのは、「配当取り週のアノマリー」である外国人の先物売りが招いたことと考えている。

これは、2014年以降の3月と9月の配当の権利付き最終日を含む週の、週次の外国人先物動向と、その後5週間の動向、そして、それぞれの日経平均の騰落率をまとめたものであるが、配当取りの全ての週において、外国人が先物を売り越していることがお分かり頂けると思う。

そして、この売りにより日経平均が週次で下落したときは、16年3月以外の全てのパターンで、その後5週間で日経平均は上昇している。

昨年9月だけは、その後の5週間で4兆円もの先物売りが出されたことから、日経平均も7.8%の大きな下落となったが、このときは、米国において長期金利(10年米国債)が3.2%にまで上昇し、景気への悪影響が懸念され、株式から債券へと急速な資金シフト(リスクオフ)が起きた例外と考えるべきであり、今回の上昇は、こういった特殊要因を除いた、ピュアな需給要因のパターンをなぞっていると考えることもできる。

(スプリングキャピタル株式会社 代表取締役社長 チーフ・アナリスト 井上 哲男)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。