まいど、相場の福の神こと、藤本誠之(ふじもと のぶゆき)です。今月から、「eワラントジャーナル」に、毎月1回連載でコラムを連載させていただくことになりました。読者の皆様、よろしくお願いします。
最初なので、藤本のプロフィールを紹介します。
「相場の福の神」と呼ばれるマーケットアナリスト。
年間200社を超える上場企業経営者とのミーティングを行い、個人投資家に真の成長企業を紹介している。「まいど!」のあいさつ、独特の明るい語り口で人気。日興證券、マネックス証券、カブドットコム証券、SBI証券などを経て、現在は、財産ネット株式会社の企業調査部長。ラジオNIKKEIで3本の看板番組を持ち、その他テレビ出演、新聞・雑誌への寄稿も多数。
日本証券アナリスト協会検定会員、ITストラテジストAll About株式ガイド。
著書:難しいことは嫌いでズボラでも 株で儲け続けるたった1つの方法(SBクリエイティブ)など合計15冊
コチラの連載コラムでは、株式、eワラントにまつわる様々な話題をご紹介させていただきます。
まず、第1回は、「北朝鮮がミサイル発射、その時投資家は?」です。
最近の株式市場の大きな懸念として、「北朝鮮の地政学的リスク」があります。北朝鮮の最高指導者である金正恩・朝鮮労働党委員長の挑発が止まらないからです。先週の7月4日にも米・独立記念日に合わせて、ICBM=大陸間弾道ミサイルの発射実験を行い、初めて成功したと発表しています。
北朝鮮がミサイルを発射したとの報道が伝わると、金融市場の反応は地政学的リスクの高まりを嫌気して、リスクオフとなり株式市場は下落し、為替市場は円高に動くケースが多いです。円高が企業業績の悪化懸念を引き起こし、更に株式市場が下落することになるのです。
地政学的リスクの高まりによって、買われるのが中・小型の防衛関連銘柄です。具体的には、機雷の製造を手掛けている石川製作所 (6208)や、自衛隊向け照明弾、発煙筒最大手の細谷火工 (4274)などです。冷静になって考えると、いくら北朝鮮との地政学的リスクが高まったとしても、機雷や、照明弾、発煙筒の需要がいきなり増えるとは思えません。多少は増加することがあったとしても、業績に大きな影響を与えることは考えにくいのです。しかし、石川製作所は7月3日終値1,041円から、ICBMが発射された7月4日には、高値1,324円で終値でも1,245円と急騰しています。細谷火工は、7月3日終値741円から、ストップ高となる高値891円で取引を終えているのです。
さて、このような防衛関連銘柄を急騰させている投資主体は誰なのでしょうか? 当然、外国人投資家や機関投資家ではありません。デイトレーダーである個人投資家が買い主体なのです。デイトレーダーは、「北朝鮮ミサイル発射」のニュースで反射的に石川製作所や細谷火工などの小型の防衛関連銘柄に買い注文を入れるのです。しかし、デイトレーダーの投資資金やポジション枠には限りがあるため、防衛関連銘柄に買いを入れる一方で、別の買い注文を取消たり、既存のポジションの手仕舞い注文を発注することが多いのです。
だから、その時にデイトレーダーの買いポジションの多い銘柄が売られることになるのです。デイトレーダーは、株価変動率(ボラティリティ)が高い銘柄を好みますので、東証1部の主力銘柄より、東証マザーズなどの新興市場の銘柄への影響が大きくなるのです。
ゆえに、「北朝鮮がミサイル発射」→「東証マザーズ指数」が急落することが多いのです。当然、日経平均株価や、TOPIX(東証株価指数)にも影響があるのですが、中小型の防衛関連銘柄の反対売買をくらう東証マザーズ指数への影響のほうが大きくなる傾向があるのです。
半歩先読みの投資を考えると、東証マザーズ銘柄は空売り可能な貸借銘柄が少ないですし、個別理由で逆行高の可能性もあるので、東証マザーズ指数の下落で儲かる投資商品への投資が良いことになります。
eワラントでは、東証マザーズ指数のプット型となります。思惑通り、東証マザーズ指数が下落すれば、eワラント価格が上昇し、新興市場の買いポジションの損失の一部をカバーすることが出来ます。これがヘッジ取引と呼ばれる取引手法です。
今回のまとめ
「北朝鮮ミサイル発射」→まずは、「eワラントで東証マザーズ指数のプット型の買い」でヘッジを行い、「新興市場銘柄のポジションの縮小」を行い、そのあとの下げを回避しつつ、逆に新興市場の直近活躍銘柄が下げ切り、「上げに転じたところでの押し目買い」とともに、ヘッジの「eワラントの売却」が今回のシナリオということです。
(財産ネット株式会社 企業調査部長 藤本誠之(ふじもと のぶゆき))
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