反発銘柄・一段高銘柄は『意外高』の可能性がある

中国要因で買われ続けた優良株

コロナウイルスの感染拡大が収まらない中で、米株指数が史上最高値を更新し、日経平均株価が1991年以来、29年ぶりの高値に位置していることに驚きを隠せない投資家は多い。コロナ禍当初は「世界恐慌に突入するだろう」「日経平均株価は1万円を割り込む可能性」など極端な悲観論が聞かれたが、それらはここまでのところハズレとなった。急反発の2大要因は「主要国中央銀行による金融緩和」と「各国の政府支出」と見られる。直近では、欧米製薬大手企業によるコロナワクチン完成間近の報が一段高へと導いた側面も強い。

主要国のなかでも、早期にコロナ感染を抑え込んだとされる中国はいち早い経済回復を見せている。中国国家統計局が10月に発表した2020年7-9月期の実質国内総生産(GDP/速報値)は、前年同期比で4.9%増となった。4-6月期(3.2%増)から伸びが拡大し、2期連続のプラス成長となっている。東京市場でも中国の需要回復の恩恵を受けると思われる銘柄の株価上昇が顕著だ。

SMC (6273・東証1部) FA用空圧制御機器の世界首位企業


日本電産(6594・東証1部)  精密小型モーターの世界首位企業


村田製作所(6981・東証1部)  セラミックコンデンサー世界首位の電子部品大手企業


絵に描いたような株価上昇とはこのこと、と言いたくなるほどの強い動きを見せている。時価総額はSMC=約4兆円、日本電産=約7兆円、村田製作所=約6兆円と大きく、短期的な投機売買の対象となるような銘柄でもない。


コロナ逆風業種でも上場来高値更新

日経平均が29年ぶりの高値水準にあるのであれば、ほとんどすべての銘柄が高値を更新してもおかしくない気がするが、決してそうではなく、コロナ禍による大きなデメリットを受けている「空運」、「JR各社など陸運の一部」、さらに菅政権による携帯電話料金引き下げ要請が業績下押し要因となった「KDDI(9433・東証1部)」、「ソフトバンク(9434・東証1部)」などは物色の圏外に置かれている。ただ、東京ディズニーランド/シーを運営する「オリエンタルランド(4661・東証1部)」は制限をつけた営業を続けているものの直近のところで上場来高値を更新しており、同様に厳しいとされている外食セクターでも、回転ずしチェーンの「スシローグローバルホールディングス(3563・東証1部)」は上場来高値近辺の動きを継続している。一概に「コロナ逆風銘柄は見送り」とは言えない状況だ。


オリエンタルランド(4661・東証1部)


スシローグローバルホールディングス(3563・東証1部)


長く物色の圏外に置かれていた鉄鋼株にも動意が見られるようになっている。世界鉄鋼協会が11月25日までにまとめた世界64カ国・地域の10月の粗鋼生産量(速報値)は前年同月比7.0%増の1億6189万トンだった。2ケタ増が続く中国のほか、インドやブラジルでも増加し、3カ月連続で前年を上回った格好で、ここでもコロナ禍が続くなかで、回復ペースが速まっている。東京市場に上場している大手鉄鋼株の株価も反発を始めた。

日本製鉄(5401・東証1部)  


JFEホールディングス(5411・東証1部) 


神戸製鋼所(5406・東証1部)  


このような状況が続くと、「株価は高すぎるのでは」という見方が台頭してくることは容易に想像がつく。少しでもコロナ感染の様子が悪化すると、再び極端な悲観論が台頭する可能性もある。コロナはこれまで経験したことがないものであり、対応や見通しが難しいのは確かだが、コロナ禍の中で株価が急反発し、一段高に進んでいる現実を投資家は忘れてはならないだろう。とくに個別銘柄の需給関係は株価が上昇すればするほど「戻り売り」や「ヤレヤレ売り」が減少していき、買いが継続するなかで「意外高」となる可能性があることも頭に置かなければならない。

チャートを示して取り上げた銘柄


(株式ジャーナリスト 天海源一郎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。

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