口先通貨安合戦はしばらく続く?

今年に入って世界の中央銀行がハト派的なスタンスを明確にしています。

もともとFRBが2015年12月に世界に先がけて政策金利であるFFレートを0.25%から0.5%に引き上げて昨年12月まで9回の利上げを行いました。

利上げ時に98.50付近だったドルインデックスは2017年1月に103.80付近まで上昇しました。このときまでに2回の利上げ行われましたが、その後の利上げによってもドルの上昇は抑えられてドルインデックスは一時88付近まで下落しました。

米国金利の引き上げがドルの上昇に結びつきませんでした。

そのFOMCが昨年の11月から突然ハト派的なスタンスに転換したことで、米長期金利は急低下しました。きっかけになったのはパウエルFRB議長の金利は中立レンジをやや下回るという発言でした。

米10年債利回りは3.2%から今週は一時2.34%まで低下しました。一方でドルはそれに伴って下落したかというとドルインデックスは95~98と直近では高止まりしています。

FOMCの緩和スタンスへの変更は、他国にとっては自国通貨の上昇につながりやすくなります。

今の経済状況で自国通貨高は、どこの国にとってもありがたくはありません。真っ先に反応したのはドラギECB総裁です。ドラギECB総裁は大規模な金融緩和は依然として必要、成長の勢いはやや鈍化すると発言し緩和的スタンスを示しました。

ドイツやユーロ圏のPMIは最近低下してきており、経済自体が鈍化しているのですがECBは今年の秋以降に利上げのスタンスから利上げを先送りというスタンスに変更したことで、ドイツ10年債利回りは0.5%付近から-0.1%付近に低下しています。

こうなるとオセアニア勢も黙っていません。
RBAは継続的に豪ドル高を牽制していましたが、豪10年債利回りは3月28日1.72%まで低下し2016年8月の1.82%を下回りました。市場では9月に政策金利を現状の1.5%から1.25%への利下げ観測が豪ドルの上値を抑えています。

RBNZ(ニュージーランド中央銀行)は先週の理事会で、見通しのリスクバランスは下方修正、次ぎの金利の方向は引き下げの可能性がより高いと緩和的なスタンスを示しました。

このようにFOMCのハト派的なスタンスの変更を受けて、各国の中央銀行もハト派的なスタンスに舵を切ったことによって為替は膠着状態に陥っています。

どの国の中央銀行も緩和的なスタンスにすることによって金利面からはにらみ合いが継続するのではないでしょうか。

通貨安誘導を表立って示唆することはどこの中央銀行もしませんが、結果的には通貨安誘導へのにらみ合いになっています。

この状況はしばらく継続していくと思います。


( 株式会社ADVANCE 代表取締役  YEN蔵)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の所属する組織およびeワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。