国土強靭化

マーケットではこのところ、グロースかバリューかという分け方でとらえることがある。ここまでの成長株グロース一辺倒ではいかなくなったか、やや買い疲れ感や割高感が気になって来たかというところだろう。そこでバリューに組み入れられるような銘柄群で、テーマ性を持つものを考えてみた。「国策に売りなし」と言われるが、中長期のテーマとして「国土強靭化」は外せない。

今年も「異常気象」で、水害に見舞われた。気象庁によると、2010年から昨年までの国内における「猛烈な雨」(1時間あたりの降水量が80mmを超えるもの)の平均年間発生回数は約24回で、76年から85年の約14回と比較して約1.7倍にもなっているという。今年は6月までに既に13回も発生、7月も九州などで被害がでる「猛烈な雨」が降った。これは「異常」ではなく、常態化したと覚悟して備えなければならないのではないだろうか。

政府は2018年7月の豪雨など、全国で相次いだ大規模な自然災害を踏まえ3年間で総事業費7兆円の緊急対策を実行している。それでもまだ各地で被害が出ているということは、対策が追い付いていないということなのだろう。時間がかかるのは仕方がないが、金額や、優先順位の付け方はどうなのだろうか。

7月17日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針2020)」では、水災害や大規模地震、火山災害を想定し「国民の命と暮らしを守ることは国の重大な責務」と述べられている。「3カ年緊急対策」の期限が切れた後も、引き続き防災・減災、国土強靱化への取り組みを推進していく方針だ。自民・公明の幹事長、国会対策委員長は21年度から5年間予算案で国土強靱化に関する特別枠を設け、十分な額を確保するよう政府に求めている。

中身としては、ハード面では、水害・土砂災害へ備える堤防の強化や砂防堰堤(えんてい)の整備、ダムの洪水調節機能の強化、道路・鉄道といった交通インフラの耐災害性強化、長期停電や通信障害を防ぐ無電柱化などを進めるとしている。
ソフト面では、防災気象情報の高度化、避難の迅速化を促すためのリスク情報の充実化などがあげられている。

これについて政府は「AI戦略2019」というものも出していて、「国内の重要インフラ・老朽化インフラの点検・診断等の業務における、ロボットやセンサー等の新技術等の開発・導入」「国土に関する情報をサイバー空間上に再現する、インフラ・データプラットフォームの構築」「近年多発する自然災害に対応した、AIを活用した強靭なまちづくり」という3つを具体目標に掲げている。進捗状況も点検してほしい。

これら政府の政策に影響を受けるであろう銘柄は建設株などかなり多い。
アジア航測、いであ、長大、日本工営、ライト工業、前田工繊、不動建設、NJS、日特建設、日本基礎技術、ウェザーニューズなどなど。
その中でも独自の工法など強みを持つ銘柄を選び、いくつかに分散投資してみるのもひとつの手ではないだろうか。


(フリーアナウンサー/証券アナリスト かのうちあやこ)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。