外国人が日本株を購入していないのに指数が上昇する“怪”

先週末、6月19日(金)に、JPX(東証)が、5月の月次海外地域別(日本株)売買動向を発表したが、それによると、主要3地域である、「北米」、「欧州」、「アジア」の5月の売買動向は、北米が898億円の売り越し、「欧州」が1,115億円の売り越し、「アジア」が3地域の中では最も大きい売り越しとなる2,023億円の売り越しで、3地域合計の売り越し金額は4,036億円と4,000億円を超えた。

これにより、3地域合計は5カ月連続の売り越し、つまり、今年に入ってから、一度も買い越してくれていない状況が判明したわけだが、この5カ月の売り越し金額を1月から並べてみると、2,788億円、1,574億円、2兆3,493億円、4,873億円、4,036億円となり、その合計は、3兆6,764億円となる。

因みに昨年は、1月から9月までの累計で3兆462億円売り越し、その後、10月からの3カ月は連続で買い越し、その3カ月の累計買い越し金額が2兆2,957億円であったことから、年間の売り越し金額は7,505億円となったが、今年に入ってからの日本株を売るという潮流はこれまでのところ変わっていないようだ。

また、地域別動向において最も注目すべき、日本株需給の“主役”である「欧州」については、今年、他の2地域が1カ月だけ買い越しているのに対して、同地域は5カ月連続で売り越しを行っており、その累計売り越し金額は2兆4,429億円と、およそ3地域全体の売り越し金額の三分の二を占めている。

しかし、ここで1つ、不思議なことが浮上する。
それは、日経平均が5月に8.34%も上昇し、また、週次の動向から、6月に入っても外国人が大きく日本株を購入しているデータはないものの、6月も6月19日時点で日経平均が2.74%上昇しているという“事実”である。

この解は、「外国人先物動向」と、投資主体としては軽視されがちな「(証券)自己」の動向にあると考えている。

これは、アベノミクス相場が始まってからの、外国人の先物(日本株指数先物取引)の売買累計を辿ったものだが、現物動向と違い、先物残高については、5月中旬(5月15日)にこのグラフで6兆8,000億円を超える売り越しを記録した後に、直近データである6月12日までの4週間で1兆3,500億円余り、買い戻されている。

また、裁定取引における、裁定売り残が、5月22日の2兆5,707億円をピークとして減少し始め、6月12日までに、その残高は6,348億円減少している。これはそのまま、「解消買い」(現物にとっては買い要因)につながっている。(主体としては、「(証券)自己」にカウントされる)

外国人の日本株動向(現金)だけでは分からない、“陰の需給要因”が現在の相場を日銀ETF買いとともに支えているということだ。


(スプリングキャピタル株式会社 代表取締役社長 チーフ・アナリスト 井上 哲男)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。