巣ごもり消費の後は?ゲームの場合

39県の非常事態宣言が解除された週末、解除されていない東京でもだいぶ人出が戻っているとのテレビ報道もあり、今一度の気の緩みへの警戒がよびかけられている。「家にいよう」生活をしてきた2カ月ほどの間にだいぶ生活は変わったが、それはどの程度続くのか、あるいは元にもどるのだろうか。

家にいる生活の様子が企業決算に反映されわかりやすかったのが米ディズニーだろう。1-3月期は動画配信サービス「ディズニー+(プラス)」は非常に好調だった一方、ディズニーランドは感染防止のため世界中で3月半ばまでに閉鎖しており売上急減。全体としては純利益が約92%の大幅な減益となった。

ディズニーランドは上海で5月11日に約3カ月ぶりに営業再開された。入場者を制限し、検温などをしたうえでの運営だが、チケットは即完売だったという。人々は外に出たいし、人と直接会って楽しみたい。中国では「リベンジ消費」などという言葉も聞かれるという。規制が解かれた後はある程度街の賑わいも戻ってくるだろう。

しかし、動画配信の手軽さ、楽しさを今回知った人々は、これを利用するのもやめないように思う。選択肢のひとつとしては残ると思うのだ。

巣ごもり消費の代表としてゲーム、なかでも「ニンテンドースイッチ」のソフト『あつまれ どうぶつの森』の人気ぶりがあげられよう。発売から6週で販売本数1,341万本となり、この時点で前作『おいでよ どうぶつの森』、『とびだせ どうぶつの森』の累計販売本数より多く、「スイッチ」向けソフトウェアとして過去最高の滑り出しを見せた。前作から30代女性を中心に人気のソフトで、今回も期待の新作ではあったがこの「家時間」が販売を後押ししたとみられる。無人島で魚を釣ったり、森を探検したり、まさに今やりたくてもできないことが仮想世界の中でできたこと、ゆったりした時間が流れている世界観が人気の秘密だろう。そして、今は集まれない友人たちと、仮想世界の中の島を訪問することで集会を開き卒業式を行った人もいるそうだ。

これまでゲームは専用機ではなくスマホでするものに変わると語られがちだった。今回は時間があるなかで、長時間プレイするための操作性の高さもあって家庭用ゲーム機の良さが見直されたと思う。今回スマホのガチャを引くタイプのゲームではダウンロード数の増加は特にみられていない。そして何より『とびだせ どうぶつの森』という家庭用ゲーム機専用ソフトの人気によるものだろう。

家庭用ゲーム機ならではのソフトだったのが同じ「スイッチ」向けの『リングフィットアドベンチャー』だ。専用の「リングコン」というエクササイズ用コントローラーと太ももにジョイコンを装着する「レッグバンド」を用いる。昨年秋の発売から売れ行きは好調だったが、ジムに行けない生活の中でさらに人気となった。ゲーム要素もうまくくわえられていることで飽きずに運動が続けられると評判だ。

巣ごもり期間が終わったあと、今回初めてゲームを手にした人はこれをやめてしまうだろうか。私の友人は『リングフィットアドベンチャー』を熱心にやっていたが、しばらく通えなかったジムを退会してしまった。この後もコントローラーを手に運動を続けそうだ。ゲームをしなくてもどうぶつの森の島にいる友人に挨拶するために電源を入れるという人がいた。まるでSNSのようだ。

ゲーム企業の業績にとっては、次作を買ってもらえるかということになるが、少なくともダウンロード版が定着してきた今、イベントを追加配信するなどの運営をうまくすれば一定の顧客は継続してくれそうだ。ある程度今回のことが顧客の多様化には寄与したと思うので、ぜひわくわくする新作をお願いしたい。


(フリーアナウンサー/証券アナリスト かのうちあやこ)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。